「ニンゲン」を飼いたい人外さんたち
『ニンゲンの飼い方』図鑑は、クリエイターの「ぴえ太(@camoy_ghost)」さんによる創作だ。
冒頭で紹介した「正しい持ち方」「ゴハン」「必要なもの」の他にも、部屋んぽやお手入れ、日光浴のやり方など、細やかな注意点と共に何枚にもまとめられ、SNSなどで公開されている。
特に広く拡散されているX(旧Twitter)では、どの投稿を見てもリプ欄が人外さん(=人ではない生物)たちで溢れているのが面白い。まるで「ニンゲン」を飼う世界線に迷い込んだかのようなコメントがいくつも寄せられているのだ。
「ニンゲン」の飼育経験がある人外さんの体験談、これから「ニンゲン」を飼いたい人外さんからの相談事、「ニンゲン」を多頭飼いする場合の注意点、おすすめのおもちゃ、歯磨きのやり方、それらに即座に返されるアドバイス…と、投稿作品だけでなく見ているファンの人たちも含めて世界観が作りこまれていっているのだ。
ぴえ太さんのXフォロワー数は11万人を超えている。もともとXではこういった「設定遊び大喜利」のような投稿はままあるが、ここまで手練れ揃いのツリーも珍しいのではないだろうか。それもぴえ太さんの作る『ニンゲンの飼い方』にリアリティがあってこそだ。
世界観の根源
そもそも「ニンゲン」を飼うというアイデアや、本物の図鑑のように詳細な設定の源は一体どこにあるのだろうか?ぴえ太さんご本人に尋ねてみた。
「あるゲームで、大きなモンスターが人間を掴んだりするのですが、モンスターのなかで一体だけ比較的丁寧な持ち方をしていてそれが印象的でした。あと昔、動物園のモルモットを飼育担当していたことがありまして、お客様にモルモットの触り方を教えていたのを思いだし、モンスターに教えてあげるモンスターがいても良いのではと思ったんです。それで、シリーズ第1弾目になる『ニンゲンの正しい持ち方』を描きました。」(ぴえ太さん)
さらにそこからもっと掘り下げて色々と描いてみようと思い、『ニンゲンの飼い方』シリーズが生まれたのだという。
シリーズのなかには現実世界で生き物と接するのと共通するような内容もあり、「うちの猫を保護したときのことを思い出す」などという声もある。実際に筆者も「まだ懐いていない猫みたいだな」などと感じたエピソードもあった。
『ニンゲンの飼い方』シリーズには、実際のご自身の体験なども反映されているのかぴえ太さんに尋ねてみたところ、飼育員としてモルモットやオウムなどを担当していたご経験が活かされているという。
「簡単にですが動物のガイドをしていたのと、家では昔ハムスターを飼っていたことがあったのでその経験を参考にしながら『ニンゲンの飼い方』シリーズを描いています。」(ぴえ太さん)
実際に動物との触れ合い方をレクチャーするお仕事をされていたとあれば、『ニンゲンの飼い方』図鑑のわかりやすさも頷ける。ぴえ太さんの『ニンゲンの飼い方』を読んでいると、本当に自分も「ニンゲン」を飼ってみることができるのではないかという気がしてくるのだ。
最後に、今後制作されてみたいクリエイティブについて伺ってみた。
「のんびりほのぼの系のストーリーをよく描くのですが、もっとアクションがあるストーリーも挑戦してみたいなと思います。」(ぴえ太さん)
ぴえ太さんは今回紹介した図鑑以外にも、『ニンゲンの飼い方』の世界で展開されるストーリー漫画を公開されている。図鑑の世界観に心惹かれた人外さん予備軍は、ぜひこちらも読んでみてもらいたい。
【ぴえ太(@camoy_ghost)】さん
創作漫画「#赤鼻の旅人」と「ニンゲンの飼い方」を描いてます。「赤鼻の旅人~道中記~」boothにて販売中。
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文/黒岩ヨシコ
編集/inox.