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細菌性肺炎に対する抗菌薬「セフトビプロール」が薬剤耐性黄色ブドウ球菌感染症にも有効、デューク大学研究報告

2023.10.26

細菌性肺炎に対する抗菌薬が薬剤耐性黄色ブドウ球菌感染症にも有効

細菌性肺炎に対して使用される抗菌薬のceftobiprole(セフトビプロール)が、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)を含む、薬剤耐性黄色ブドウ球菌感染症の治療にも有効であることが新たな研究で示された。

複雑性の黄色ブドウ球菌感染症に対するceftobiproleの治療効果を、既存薬のダプトマイシンと比較した結果、両剤の効果は同等だったという。

米デューク大学医学部准教授のThomas Holland氏らによるこの研究の詳細は、「The New England Journal of Medicine(NEJM)」に2023年9月27日掲載された。今回の研究により、新たな治療選択肢を提供できる可能性が示唆された。

複雑性の黄色ブドウ球菌感染症は、よく見られるが、しばしば致死的となる感染症だ。

今回の論文の上席著者で、同大学医学部分子遺伝学・微生物学教授のVance Fowler氏は、「多くの医学研究が行われているにもかかわらず、複雑性の黄色ブドウ球菌感染症の感染90日後における死亡率は、依然として25%と高い。このような感染症の治療には、より多くの選択肢が必要だ」と述べている。

この研究は、ceftobiproleのダプトマイシンに対する非劣性を検討する第3相二重盲検ランダム化比較試験として実施された。17カ国、60カ所の施設において、2018年から2022年の間に複雑性の黄色ブドウ球菌感染症を発症した成人患者390人を対象に、ceftobiproleを静脈内投与する群とダプトマイシンを静脈内投与する群に1対1の割合でランダムに割り付けた。

複雑性の黄色ブドウ球菌感染症の定義は、持続性の血流感染症、長期血液透析に関連した血流感染症、あるいは感染源を軟部組織感染症、腹部膿瘍、骨関節感染症などとする血流感染症とした。

主要評価項目は、ランダム化から70日後の全体的な治療成功率とし、生存、症状の改善、血流からの黄色ブドウ球菌の除去、黄色ブドウ球菌に関連した新たな合併症がないこと、他の抗菌薬を使用していないことを治療の成功と定義した。また、安全性についても評価した。

解析の結果、実薬を投与された387人におけるランダム化から70日後の全体的な治療成功率は、ceftobiprole投与群で69.8%(189人中132人)、ダプトマイシン投与群で68.7%(198人中136人)であり、ceftobiproleはダプトマイシンに対して非劣性であることが判明した。

両群の死亡率は、同順に9.0%、9.1%だった。また、有害事象の発生率は、同順に63.4%(191人中121人)、59.1%(198人中117人)だった。最も頻繁に見られた副作用は、軽度の悪心を主とする消化器系の症状で、ceftobiprole投与群により多く見られた。

Holland氏は、デューク・ヘルス社のニュースリリースで、「この15年以上、黄色ブドウ球菌血流感染症の治療薬として新たな抗菌薬は承認されていない。この分野の治療薬は切望されている」と述べ、今回の研究の意義を強調している。

なお、この研究は、ceftobiproleを販売しているBasilea Pharmaceutica International社から資金提供を受けて実施された。(HealthDay News 2023年9月28日)

Copyright © 2023 HealthDay. All rights reserved.
Photo Credit: Adobe Stock

(参考情報)
Abstract/Full Text
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2300220

Press Release
https://corporate.dukehealth.org/news/antibiotic-shows-effectiveness-against-deadly-staph-infections

構成/DIME編集部

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