こんにちは。
弁護士の林 孝匡です。
宇宙イチ分かりやすい法律解説を目指しています。
裁判例をザックリ解説します。
転職先の会社から内定をもらったXさん。
会社
「トライアル雇用の紹介状をもらってきてください」
Xさん
「はい」
〜 数日後 〜
Xさん
「ハローワークが紹介状を出せないと言ってます」
会社
「補助金が受給できないじゃないですか。あなたの給料を下げていいですか」
Xさん
「(え…)2万円までなら」
〜 数日後 〜
会社
「不採用にします」
ーーー 裁判官、こりゃダメでしょ!
裁判所
「だね。この内定取り消しは違法。177万+慰謝料50万をはらえ」
以下、分かりやすくお届けします(カワサ事件:福井地裁 H26.5.2)
※ 争いを一部抜粋して簡略化
※ 判決の本質を損なわないよう一部フランクな会話に変換
登場人物
▼ 会社
・紡績糸、織物の製造販売などを行う会社
▼ Xさん
・おそらく60歳手前
・再就職先を探していた
どんな事件か
Xさんが転職を考えていたところ、ある人物の紹介で今回の会社の社長と会うことになりました。
▼ 会社訪問1
H23.12.15
Xさんは会社を訪問して、社長と面談しました。面接みたいなものです。およそ2時間。
▼ 前の会社を辞める
H24.2
Xさんは前の会社に退職届けを出しました。3.20で辞めると記載していました。なのに3週間後に、転職が決まった会社から内定を取り消され、絶望です。詳しくはのちほど。
▼ 会社訪問2
H24.3.17
Xさんは会社に履歴書を持っていきました。社長は自分の息子と従業員をXさんに紹介しました。4人の打ち合わせは約40分ほど。社長はXさんに対して具体的な仕事内容を説明しました。そして社長は「ハローハークからトライアル雇用の紹介状をもらってきてほしい」と伝えました。
しかし、ハローワークは「その体裁の紹介状を交付できない」と言いました。前の会社の職種と転職先の職種が同じという理由で交付できなかったようです。
▼ 会社訪問3
社長は、トライアル雇用の紹介状を持ってこれなかったXさんを非難しました。理由は「その紹介状がなければ補助金を受けとれない」というものでした。社長は「かわりにあなたの給料から補助金分を差し引かせてほしい」と言いました。Xさんは「月額2万円までしか出せない」と回答。
▼ 不採用通知
H24.4.12
会社はXさんに不採用通知を出しました。補助金を受給できないことが理由だと思うんですが、通知書には以下の理由が記載されていました。
・前の会社を辞めた理由について質問したところ、Xさんが前の会社の社長を中傷した
・前の会社でのXさんの素行が悪かった
・期限切れの紹介状を持ってきた
Xさんは会社に電話しましたが、社長は「通知書に書かれとおりだ」と答え電話を切りました。
Xさんが提訴。