近畿圏エリア1位は「JR奈良線」、大学付近を通る路線も上位に
1位「JR奈良線」
近畿圏(大阪府、京都府、兵庫県)の鉄道路線のうち、沿線賃貸物件への問合せが前年から最も増加したのは「JR奈良線」となった。JR奈良線は2023年3月に約14.0kmが複線化され、全線の所要時間が最大6分短縮。朝のラッシュ時の増発も行われた。
そこで注目したいのが、JR奈良線と並行する「近鉄京都線(10位)」との比較だ。近鉄京都線では「大久保」「久津川」「寺田」といったJR奈良線と接近する駅で問合せ数が前年を下回ったほか、近鉄京都線の「小倉(前年比140.0%)」に対し、JR奈良線の「JR小倉(前年比205.0%)」となるなど、前年と比べてJR奈良線沿線にニーズが流れたエリアがある。これは、JR奈良線の利便性向上に加え、今年3月の近鉄の運賃改定により、京都への運賃面でJRが優位になったことも影響しているかもしれない。
2位「叡山電鉄叡山本線」「神戸高速東西線」
2位には2路線がランクインしたが、特に注目したいのが「叡山電鉄叡山本線」だ。京都市北部へ延びる路線で、起点の「出町柳(前年比131.5%)」のほか、京都大学の学生が多く住む「元田中(前年比131.5%)」や京都工芸繊維大学の学生が多く住む「一乗寺(前年比139.4%)」で、問合せ数が大きく増加した。
これらの大学では、コロナ禍で導入したリモート講義を2023年5月以降積極的に縮小しており、通学機会が増えた大学生が大学近辺に転居する動きが活発化している可能性がある。
近畿圏の考察
近畿圏のランキングには「学生の街」を通る路線が多く並んだ。
「叡山電鉄叡山本線(2位)」のほか、沿線に同志社大学今出川キャンパスや京都府立大学、京都工芸繊維大学が立地する「京都市営地下鉄烏丸線(6位)」、立命館大学衣笠キャンパス付近を走る「京福電気鉄道北野線(7位)」、大阪府では、大阪大学豊中キャンパス最寄りの「阪大石橋前」を起点とする「阪急箕面線(9位)」などがランクイン。それぞれ、「今出川(前年比125.2%)」「松ヶ崎(前年比125.6%)」「阪大石橋前(前年比137.4%)」など、学生が多く住む駅で問合せが大きく増加している。