■連載/大森弘恵のアウトドアへGO!
濡れから身体を守ってくれるシェルジャケットは、キャンプだけでなく通勤など日常でも役立つすぐれもの。ところがその正しい手入れを知らない人は思いのほか多い。
Baluko Laundry Placeを運営する「OKULAB」のマネージャー、金子創さん
2023年春、北海道・斜里郡「Baluko Laundry Place 小清水町ワタシノ」で総合アウトドアメーカー、モンベルの撥水材を用いた「モンベル撥水コース」が誕生し話題となったが、2023年9月29日より東京・代々木上原店でも同サービスがスタートした。
撥水性が低下してもあきらめる必要なし!
「小清水町ではアクティビティの後にすっきり洗って帰る方だけでなく、農作業用のシェルを洗う方が多いようです。アウトドア好きの間ではシェルの手入れの仕方が知られていますが、一般的にはそれほど知られておらず、撥水性が低下したら諦めていたんだそう。復活すると知り驚いた、これでまた長く着られるという声が多く寄せられました」(金子さん)
シェルジャケットにはゴアテックスをはじめとする防水透湿性素材を搭載したハードシェル、そして防水性はそこそこだけどしなやかで動きやすいソフトシェルがあり、どちらも手入れの手順は次のとおり。
(1)柔軟剤や芳香剤、蛍光剤など余分なモノが入っていない中性洗剤で汚れを落とす
(2)洗剤成分が残らないようしっかりすすぐ
(3)陰干しをしてから、ドライヤーやアイロン(低温)、乾燥機で熱処理
表生地の撥水剤が落ち、水玉ができなくなったら(2)と(3)の間に、撥水加工(ハードシェルは撥水剤に漬け込むかスプレー。ソフトシェルの場合はスプレーに限るモノがあるので各ウェアのお手入れ方法を確認)の工程が追加される。
以上の基本3ステップ+定期的に撥水処理を行うだけなので簡単に見えるが、ハードシェルは水に浮きやすい。これがやっかいなのだ。
縦型洗濯機は汚れ落ちが抜群だが、まんべんなく汚れを落とせる。ところが撥水剤が行き渡っているかの確認が面倒。
他方、ドラム式はたたきつけるので洗剤や撥水剤は行き渡るが、水量が少ないと汚れ落ちに不安が残る。
Baluko Laundry Placeのモンベル撥水コースは、ありがたいことに洗濯からすすぎ、撥水加工、乾燥まで全自動。
「モンベル撥水コースを設定できるのはMサイズの洗濯乾燥機で5kgまで。従来型のコインランドリーは選択後に乾燥機に入れ替えなくてはいけませんでしたが、これは一体型。洗剤や撥水剤を用意する必要もなく、シェルを入れてボタンを押したらあとは仕上がりを待つだけなんです」(金子さん)
使われているのは環境に配慮した非フッ素の加工剤。少ない水でも全体に活き渡るようBaluko Laundry Placeでは特殊なすすぎ工程を追加しているという。
洗剤はBalukoオリジナルの「per(ピウ)」。
植物由来の合成界面活性剤と天然の純石けん分を使ったシンプルな洗剤で、シェルのメンテナンスにはうってつけ。
しかも汚れ落ちのよい洗剤量と水量、衣類の動きを計算しているほか、熱処理も適温に設定している。
自宅で乾燥・熱処理まで行うとかなりの時間を要するが、大きなダクトを用いて排気しながら熱処理を行うので約65分後に処理完了。
忙しい人も手軽に撥水処理を行えるというわけ。