札幌で行なわれた初競りで昨年のおよそ4倍の高値で落札されたサンマ。今年も市場価格は高くなるだろう。
価格高騰の原因は漁獲量の減少だ。魚介類全体の漁獲量の推移(下のグラフ)を見ると1990年頃をピークに減少。今後は「魚介類=高級品」となるのだろうか。前年からの増減を見ると、サバやマグロ系の魚は減少も、サケ、アサリなどは増加。だが、サケは20年前の3分の1、アサリは10年前の5分の1。増えたというより、底を打ったというのが実情か。
暗い話ばかりではない。左上のグラフを見ると、近畿大学で完全養殖に成功してから20年しかたっていないクロマグロが養殖ランキングの4位に。養殖の技術が確立したら生産量が増え、手頃な価格で食卓に届く可能性があるのだ。
海面漁業に漁獲量の推移(全体及び3魚種)
ニュースで河川に稚魚を放流する姿が放送されるがサケ類の漁獲量は減少傾向。
資料:農林水産省『漁業・養殖業生産統計 出典:「フード・マイレージ資料室」
フグは、餌の調合による無毒化、海がない場所でも水槽で飼育可能など、技術が発展している。
出典:農林水産省(令和4年)
前年からの増減が大きい漁業主要魚種別の漁獲量ランキング
回転寿司のリーズナブルなネタ、ビンナガがここまで減れば値上げもやむを得ないだろう。
オキアミはかき揚げや佃煮で使われるエビに似た生き物。釣りの餌としてよく使われる。
農林水産省 令和4年漁業・養殖業生産統計
取材・文/渡辺雅史 イラスト/トーマス・オン・デマンド