筋トレをする誰もが理想と現実のギャップを抱えていると思います。努力をしているにもかかわらず、思い描いた体に辿り着けないという悩みは、後を絶ちません。なぜなら、人の体は千差万別で、トレーニングの目的や置かれている環境も人それぞれ。また同じ人でも必要なトレーニングが時期によって変わるため、一人一人に最適な種目を採用することは、本当に難しいからです。では、どうすればいいのか?
みずからも選手としてボディビル競技に挑みつつ、骨格筋評論家「バズーカ岡田」として多くのメディアに出演。トレーニングは「心と身体を鍛えるもの」をポリシーに、トップアスリートから一般の方まで、さまざまなフィールドでそれぞれに適した身体づくりを提案・指導している岡田隆さんの著書「世界一細かすぎる筋トレ図鑑」の中からDIME読者におすすめしたいノウハウを厳選、再編集してお届けします! あなたが選び、あなたが鍛えたい場所を鍛える、新しいトレーニングを始めましょう。
ターゲットエリア【肩】肩にメロンをつくる
撮影/蔦野裕 モデル/五味原領
メロンのように丸く立体的な肩をデザインする
肩を構成する三角筋は、鎖骨部(前部)、肩峰部(中部)、肩甲棘部(後部)に分かれる。肩峰部は側方に張り出すことから、正面から見た時の逆三角形シルエットを強調。鎖骨部と肩甲棘部は前方、後方へ張り出し、横から見た時の丸く美しい肩をつくる。また三角筋は上腕との間に溝をつくり、カッコいい腕をも演出する。全てバランス良く鍛えることで、肩とは思えない大きな球体ができ上がり、体の印象を大きく左右する。
〈三角筋・肩甲棘部(後部)〉フェイスプル[基本マシン/POF・C]
【ココが大事!】肘を外側に回すように引く
フェイスプルは、リアレイズの姿勢をとるのがきつい人におすすめの種目。リアレイズ同様、僧帽筋の動きを減らすために、猫背姿勢を保ったまま引くことが重要になる。また、上体を動かすと簡単に引けてしまい、三角筋に効かなくなるので注意。
〈三角筋・肩甲棘部(後部)〉ライイング・リアレイズ[BD/POF・S]
【ココが大事!】顔の向きを変えて最大伸張させる
ポイントは、ダンベルと逆方向に顔を回すこと。ダンベルを下ろす時は、持ち手側の肩の方を向き、挙げる時は逆側の方を向く。これにより、三角筋・肩甲棘部が最大限ストレッチする。肩のストレッチングで、伸ばしている肩の方に顔を向けるのと同じ原理だ。
《岡田隆の Bazooka Column》
トレーニング効果とけがは表裏一体!?
トレーニングは基本的に、普段行わない動作と、通常ではかからない負荷を加えることによって筋肉に刺激を与えるものです。そのために、日常では持つことのない高重量のバーベルを挙げたり、ギリギリのストレッチポジションで負荷をかけたり、筋線維の方向に合わせて不自然な姿勢をとったりします。これにより、筋肉が「危機的状況」に陥り、次なる危機に備えて順応することで、筋肥大が起こるのです。
しかしこの危機的状況は、故障するリスクでもあります。特に、特定の筋線維に負荷をかけることができる種目ほど、けがのリスクも高まる可能性があるのです。分かりやすいところでいえば、高重量デッドリフトを行うと、腰部の安定性が低くければ腰を痛めます。また手幅を狭くして上腕三頭筋・外側頭を狙うナロウ・ベンチプレスと手首、膝を出して行う内側広筋に効かせるスクワットと膝関節など、メリットである特定の筋線維への負荷とデメリットである関節への負担がトレードオフの関係にあるのです。
こうしたリスクを避けるため、トレーナーは安全なフォームを紹介したがります。しかし、それは同時に特定の筋線維を強く刺激する効果を犠牲にしたフォームでもあることも理解しましょう(シシー・スクワットは本当に見なくなりました)。重要なのは、「違和感や痛みのある姿勢はとらない」「ストレッチポジションからの切り替えはゆっくり行う」「無理やり高重量を扱わない」といった基本事項に注意し、けがを防ぎながら、特定の筋線維への効果が最大化するフォームに調整することです。けがをすると長期間、筋トレ自体ができなくなってしまいます。自分の体の声を聞きながら、無理のない範囲で、賢く努力してください。
世界一細かすぎる筋トレ図鑑トレーニングページのトリセツ
ここからは、細分化された部位別のトレーニングを紹介していきます。各種目は、トレーニング種別とPOF法によって分類されています。目的に合わせ、最適な種目を選びましょう。
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いかがでしたでしょうか?
パーソナルジムが増え、SNS や動画配信サイトの情報も豊富になった昨今、筋トレにまつわる“メソッド”の不足に困ることはなくなりました。しかしそれでも、ギャップが完全に埋まることはないでしょう。
筋トレをいざ始めてみると、最初はグングンと成果が現れますが、この “ビギナーズ・ラック”のようなボーナス期は3
カ月~半年間で終わってしまい、その後は停滞期が訪れます。そんな停滞期を何度も乗り越えてきた著者だからこそノウハウ、「理想の体」にいち早く到達するためのメソッドを知りたくなった方は是非チェックしてみてください。
「世界一細かすぎる筋トレ図鑑」
岡田隆/小学館
『世界一細かすぎる筋トレ図鑑』に続く、第2弾も登場!
「世界一細かすぎる筋トレ栄養事典」
岡田隆/小学館
国内ボディビル大会で優勝、世界大会にて3位となるまでの体験、そして研究者としての知見から得た「生きていくうえで必須の行為『食事』を、いかにボディメイクに生かすか」がテーマ。どんなに完璧なトレーニングを心がけ、日々怠らずに実践していても、適切な食事が摂れていなければ、効果は激減してしまう。あなたに必要な栄養素は何かに気付く「知識」、それを効率的に摂り込む「方法」を詰め込んだ待望の第2弾。
著者/岡田隆 Okada Takashi
ボディビルダー/日本体育大学体育学部教授
日本オリンピック委員会 強化スタッフ(柔道)/柔道全日本男子チーム 体力強化部門長/日本ボディビル&フィットネス連盟 ジュニア・マスターズ委員長/理学療法士/スポーツトレーナー/骨格筋評論家/ バズーカ岡田
トレーニングは「心と身体を鍛えるもの」をポリシーに、トップアスリートから一般の方まで、さまざまなフィールドでそれぞれに適した身体づくりを提案・指導している。みずからも選手としてボディビル競技に挑みつつ、骨格筋評論家「バズーカ岡田」として多くのメディアに出演。1980 年、愛知県出身。日本体育大学卒業、日本体育大学大学院修了(体育科学修士)、東京大学大学院単位取得満期退学。厳しいトレーニングと減量から成るボディビルは、身体だけでなく心も鍛えるとして学生指導の核に掲げており、日本体育大学バーベルクラブの顧問を務めている。自身もウェイトトレーニングの実践者として 2014 年にボディビル競技に初挑戦。デビュー戦の東京オープン選手権大会70kg 級で優勝。16 年には日本社会人選手権大会を制し、日本選手権大会には16 年、17 年に連続出場 している。『除脂肪メソッド』(ベースボール・マガジン社)、『無敵の筋トレ食』(ポプラ社)など著書多数。累計100 万部を突破している。YouTube チャンネル「バズーカ岡田の筋トレラボ」「バズーカ岡田チャンネ