金融庁は、金融リテラシーの向上のために幼少期からの金融経済教育を推進している。2022年度からは高校の新学習指導要領において、家庭科の学習内容に「資産形成」が加わり、株式や債券、投資信託など金融商品の基本などを学生時代から学ぶこととなった。
これを受け、早期からの金融教育の波が高まるなか、自治体から金融機関や民間企業まで、子ども向け金融教育ワークショップの開催が目立ってきた。
子を持つ親として興味はあるけれど、「学校で教える内容とどう違う?」「効率的な金融教育方法は?」など疑問も生まれるだろう。
今回は、子ども向け金融教育のワークショップの状況や民間企業が提供するワークショップの背景や内容を紹介する。
子ども向け金融教育のワークショップの開催状況
学校の授業とは別に、小学生からの子ども向けに金融教育のワークショップを開催する動きが高まっている。
●自治体の金融教育の取り組み〜大阪府泉大津市
大阪府泉大津市は、義務教育課程における子どもの金融リテラシー向上に向けて株式会社HONEYTHINGと連携し、2022年4月に金融教育イベント「キッズフリマ」を泉大津市内で開催した。同イベントは、大人立入禁止エリア内で子ども達だけで売り買いをするもの。
子どもにリアルな売買経験を提供し、金融リテラシーの獲得や起業マインドを持つ人材の育成、リユース意識の醸成を目指した。
●学校では学べない金融教育を実施〜キッズ・マネー・スクール
一般社団法人日本こどもの生き抜く力育成協会による「キッズ・マネー・スクール」は、学校では学べない金融教育を受けられる場所だ。
2022年には開催依頼が2021年に比べて45%増加したという。金融教育スクールの需要が高まっていることがうかがえる。
同スクールでは下は4歳から上は15歳まで、年齢に合わせた体験型の金融教育が受けられる。例えば4歳から10歳は「おみせやさんごっこ」として子ども自ら店長になってものの売り買いを体験。7歳から12歳はクレジットカードや電子マネー、携帯ゲームなどの、普段、見えないお金について学ぶ。9歳から15歳は将来のライフプランを具体的に考えるワークショップを開催する。
●投資の知識や職業体験のワークショップを提供〜レオス・キャピタルワークス
投資信託「ひふみ」シリーズを運営するレオス・キャピタルワークス株式会社は、中高生向けの金融教育を実施している。
中学生職業体験では、生徒1〜6人の小グループに分かれて、体験先に生徒だけで通い、仕事を体験する。「お金とは?」「投資とは?」を共に考え、チラシを作る体験型ワークショップを実施した。
高校生向けとしては進路や未来を共に考える特別授業や認定NPO法人金融知力普及協会が主催する高校生模擬起業グランプリ「リアビズ」への協賛などを行っている。
今後、このような民間企業と自治体や協会が連携してワークショップなどを開催する機会も増えていくだろう。