小学館IDをお持ちの方はこちらから
ログイン
初めてご利用の方
小学館IDにご登録いただくと限定イベントへの参加や読者プレゼントにお申し込み頂くことができます。また、定期にメールマガジンでお気に入りジャンルの最新情報をお届け致します。
新規登録
人気のタグ
おすすめのサイト
企業ニュース

認知機能障害がなくても多くの高齢者がなりすまし詐欺の被害に遭う可能性は高い、ラッシュ大学医療センター研究報告

2023.10.09

「なりすまし詐欺」の被害に遭う可能性が高い高齢者は多い

高齢者の多くは電話による「なりすまし詐欺」の存在は十分認識しているが、詐欺に遭いやすい高齢者も一定の割合でいることが、米ラッシュ大学医療センター教授のPatricia Boyle氏らによる新たな研究で示された。

政府機関関係者を装ったなりすまし詐欺を疑似的に行ったところ、電話をかけてきた偽りの政府機関が合法的な機関なのかどうかに疑問を持つことなく個人情報を提供した高齢者が約16%いたのだ。詳細は、「JAMA Network Open」に2023年9月22日掲載された。

政府機関の関係者を装ったなりすまし詐欺の多くは、メディケアや社会保障庁の関係者の名をかたったEメールやテキストメッセージ、電話で始まる。

こうした詐欺では、高齢者に対して、指示通りに支払いや個人情報の提供をしないと給付金の支給が停止されると脅す。あるいは、不正に給付金を請求するためにメディケアの番号を聞き出そうとする場合もある。

このような詐欺師がターゲットに電話をかける際には、相手に本物だと思わせるために、スプーフィング技術を用いて発信者IDに政府機関の電話番号を表示させたり、「社会保障庁」といった政府機関名を名乗ったりする。

研究グループは今回、進行中の研究プロジェクトに参加している644人(平均年齢85.6歳、女性77.8%)の高齢者を対象に、偽の詐欺を仕掛ける実験をした。

まず「米国退職者保護対策委員会」という架空の政府機関の関係者を装い、高齢者に郵便、Eメール、電話のいずれかの方法によって連絡を取った。

連絡した内容は、ソーシャルセキュリティーとメディケアの給付金に関わるアカウントにセキュリティー侵害があった可能性を警告するもので、アカウント情報を確認するために、指定された電話番号への電話かウェブサイトへのログインを求めるものだった。

その結果、連絡を取った高齢者の68.5%(441人)は詐欺師を相手にしなかった。また、指定された電話番号に電話をかけたか、かかってきた電話に応答し、詐欺師からのアプローチに対応はしたものの、不信感を表した高齢者の割合は15.1%(97人)だった。一方、この状況を疑うことなく個人情報を提供した高齢者の割合は16.4%(106人)だった。

なお、認知症有病率は、相手を疑うことなく対応した高齢者で14.2%(15人)、詐欺師を相手にしなかった高齢者で14.3%(63人)とほぼ同等で、対象者の大半は認知症に罹患していなかった。

Boyle氏は、「認知機能障害がない高齢者も含めて、考えられている以上に多くの高齢者が詐欺師にだまされやすいことが今回の研究で示された」と説明している。

政府機関のなりすまし詐欺は最も一般的な金融詐欺の一つだが、ほかにもさまざまな詐欺被害が報告されている。米連邦取引委員会によると、2022年だけで約50万件の高齢者の詐欺被害が報告されており、被害総額は15億ドル(1ドル149円換算で2235億円)を超えている。

今回の研究には関与していない専門家の一人で、非営利団体の全米高齢者問題協議会(NCOA)のGenevieve Waterman氏は、金融詐欺で高齢者が狙われやすい理由の一つは、富の大半を握っているのは高齢者だという誤ったイメージが流布しているからだと指摘。

実際には、多くの高齢者は詐欺師の攻撃をかわしているものの、詐欺被害に遭うと金銭的にも精神的にも大きな打撃を受ける場合が多いと同氏は言う。

Waterman氏は、「この研究結果は、誰もが被害者になり得ることを証明するものだ」とした上で、「詐欺師にだまされた高齢者はそのことを恥じて家族に対してさえも秘密にする場合があるため、この研究結果は重要だ」との見解を示している。

Boyle氏によると、研究で疑似的な詐欺に遭った高齢者のグループは、詐欺の手口についての知識が全般的に少ないことも明らかになったという。そのため同氏は、「よくある詐欺の手口や一般的な金融リテラシーについての教育が必要だ」と主張している。(HealthDay News 2023年9月25日)

Copyright © 2023 HealthDay. All rights reserved.
Photo Credit: Adobe Stock

(参考情報)
Abstract/Full Text
https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2809785

構成/DIME編集部

@DIMEのSNSアカウントをフォローしよう!

DIME最新号

最新号
2024年5月16日(木) 発売

新NISAで狙え!DIME最新号は「急成長企業55」、次のNVIDIAはどこだ!?

人気のタグ

おすすめのサイト

ページトップへ

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 第6091713号)です。詳しくは[ABJマーク]または[電子出版制作・流通協議会]で検索してください。