『青菜に塩』は日常会話で使える便利な慣用句ですが、正しい意味を知らない人もいるのではないでしょうか?意味と併せて由来や使い方の例文、注意点を紹介します。類義語や対義語も確認し、表現の幅を広げるのに役立てましょう。
「青菜に塩」とは?
『青菜に塩』には、どのような意味があるのでしょうか?正しく使えるように、まずは意味や由来を確認しましょう。
「元気を失っているさま」を表す
青菜に塩は、人が元気を失っている様子を表す慣用句です。それまで元気だった人が、急に気落ちしてしょげている場合などに使います。
青菜はほうれん草や小松菜など、緑色の葉野菜を指します。どんなに新鮮でみずみずしい青菜でも、塩を振ると水分が抜けてしんなりすることが由来です。青菜に塩を振りかけたときのように、急にしょげてしまっている状態を表しているのです。
「青菜に塩」の使い方の例文と注意点
青菜に塩を正しく使うために、意味だけでなく使い方も紹介します。使い方を分かりやすい例文や注意点とともに確認しましょう。
「青菜に塩」使い方の例文
使い方が分かる例文を三つ紹介します。状況に合わせてアレンジして使ってみましょう。
【例文】
- 高得点を取れると確信していたテストの結果が悪くて、青菜に塩だ
- サッカーの試合で先取点を決め、勝てると盛り上がっていたが、最終的に逆転されてしまい、青菜に塩の気分だ
- ボーナスが支払われ喜んでいたのに、思った以上にカードの引き落としがあり、青菜に塩だ
このように、何らかの理由で急に気落ちして元気がなくなったというような状況で使います。
使う際の注意点
青菜に塩は元気を失っている様子を表す慣用句ですが、普段は元気な人が何らかの理由から急に元気がなくなる状態を例える表現です。そのため、普段から元気のない人には使いません。例えば、「彼女はいつも元気がなく、今日は普段にも増して青菜に塩だ」のような使い方はしない点に注意しましょう。
また、病気などで元気をなくしている人にも使いません。普段元気な人が体調を崩して元気がない場合に『風邪で体調を崩し、まるで青菜に塩のようだ』というのは、誤った使い方です。
ただし、身体的ではなく精神的に急に元気がない場合には使います。『恋人に振られたらしく、しばらく青菜に塩のようだった』などという表現です。
「青菜に塩」の類義語・対義語
青菜に塩と似た意味を持つ類義語や、反対の意味を持つ対義語もあるので、意味と使い方の例文を紹介します。さまざまな表現を知っていると、会話や読書中などに意味が分からず困ることが減るでしょう。
類義語:「青菜を湯に漬けたよう」
『青菜を湯に漬けたよう』は、青菜に塩と同様の意味で使われる慣用句です。ピンとしていた青菜も沸騰した湯の中に入れると、途端に縮んでしんなりすることから生まれた表現です。
【例文】
- 母はクリスマスに特別な料理を作ろうと頑張って準備していたのに、うっかり焦がしてしまい、青菜を湯に漬けたようだ
- 当日に風邪を引いて前々から楽しみにしていた旅行に行けなくなってしまった彼は、まるで青菜を湯に漬けたような状態である
- 毎日のように野球の練習に励んでいたのに、けがをして試合に出られなくなってしまった弟は、青菜を湯に漬けたようだ
類義語:「蛞蝓(なめくじ)に塩」
蛞蝓に塩をかけると、体から水分が抜けて縮み、干からびてしまいます。その様子から、苦手なものを目の前にしたときに萎縮してしまうことの例えとして使われています。厳密には青菜に塩と同じ意味というわけではありませんが、似た意味として使われている類義語です。
【例文】
- 蛞蝓に塩をかけたみたいになっているけれど、何かあったのだろうか
- 帰宅した娘が、まるで蛞蝓に塩をかけたようだった。どうやら前々から行きたいと思っていた話題のカフェに行ったのに閉まっていたらしい
- 大切な試験に遅刻してしまった彼は、蛞蝓に塩をかけたように落ち込んでいる様子だった
対義語:「水を得た魚(うお)」
代表的な対義語の一つが、『水を得た魚』です。その人に合った最適な環境で生き生きと活躍している様子を表しています。『さかな』ではなく、『うお』と読む点に注意しましょう。
【例文】
- 海外移住をした後は、水を得た魚のように充実した毎日を送っているようだ
- 移籍後の彼の活躍は、まるで水を得た魚のようだ
- 普段はおとなしい彼女だが、アニメの話題になると水を得た魚のように多弁になる
日常会話だけでなく、ビジネスシーンなどフォーマルな場面でも使える便利な表現です。
対義語:「蛙の面に水」
『蛙の面に水』は何が起きても動揺したり、へこたれたりしない様子を表しています。蛙は水の中で生活できるため、予期せず顔に水をかけられても平気でいることからできた表現です。ずぶとさや無神経さの例えとして使われるケースもあります。
【例文】
- 彼は先生に何度も注意されているのに遅刻を繰り返している。まさに蛙の面に水だ
- 周囲からは『彼に何を言っても蛙の面に水だよ』と諌められるが、諦めずにサポートするつもりだ
- 医師に健康維持のために運動する習慣をつけることが大切だと何度も言われているのに、一向に重い腰を上げる様子がない。蛙の面に水だ
構成/編集部