企業向け経済インフラプラットフォームである Stripeから、「CFO レポート : 自動化とデータ統合が実現する財務・経理の未来」が発表された。
これは世界8市場(オーストラリア、フランス、ドイツ、日本、メキシコ、シンガポール、英国、米国)で、少なくとも自社の売上の10%がオンライン販売によるものであると考える企業の役員、またはCFOなどの財務を担う意思決定者1700 人以上を対象に行われたもので、本稿では、その概要をお伝えしていく。
本レポートでは、今日の財務責任者が財務・経理部門の未来に向けて準備している 3 つの取り組みに焦点を当ている。
1)グローバルのCFO がソフトウェアプロバイダーの統合を急ぐ中、日本では「迷っている」と回答
2010 年代に SaaS プロバイダーが急増し、これにより、企業はさまざまなツールを使って、事業に欠かせない業務を自動化できるようになりった。大半の企業がビジネス運営に多数のシステムを導入しているが、調査に回答した CFO は、 使用しているシステムがあまりにも多いことに頭を悩ませている。
決済サービスそのものについての認識もグローバルと日本では乖離
異なるシステムを複数使用し管理することで発生する、意思決定のスピードの鈍化等の解決策として検討されるものの 1 つが、ソフトウェアプロバイダーの一部を統合することだ。
実際に、グローバルの財務責任者の 55% が、「今後 1〜2 年以内に使用しているソフトウェアプログラムを統合したい」と考えており、そのうち半数近くが、統合の目的として「データの一元化」を挙げている。
しかし、自社が使用している多数のソフトウェアプロバイダーを統合することについて、他国が積極的に検討する中、「迷っている」と回答する割合は日本が 44% とかなり高く (グローバル平均:19%、シンガポール:6%)、日本はソフトウェアプロバイダーの統合がもたらす優位性に確信が持てていないのが現状だ。
また、統合を検討している場合には、その理由として「コスト削減」を挙げる人は他国よりも圧倒的に多く70% という結果になり、決済システムの効率化を収益を上げる戦略の一環としてよりもコスト削減の一環として捉えていることが推察できる(グローバル平均:46%)。
決済サービスそのものについての認識もグローバルと日本では乖離があり、グローバルでは「戦略的成長を促進するプロフィットセンターや資産」と見なす傾向にあるのに対し、日本では「コストセンターや負債」と見なす傾向が強いことがわかっている。
これらのデータから、日本の財務責任者は海外の同業者に比べて、決済サービスを単に削減すべきコストと考える傾向が強く、財務的な負担としてのみ捉え、最新の決済サービスが事業の成長を促進させているということを認識していない可能性が考えられる。
そもそも日本の財務責任者は、自社の財務管理のためのさまざまなシステムやデータベース、ツール、ベンダーなどをすべて統合して、手作業なしで一カ所にまとめることができると考えている割合も低い (日本:46%、グローバル平均:63%)。
これを実現するため、現在直面している障壁について聞いたところ、日本の財務責任者の 36% が「コスト」と回答した (グローバル平均:23%)。
グローバルで課題となっている「システムの数が多すぎる」ことを挙げる傾向は 23% と低く、(グローバル平均:35%、シンガポール:47%) 扱っているシステムの多さや統合の可能性を認識できていない可能性がある。
また、日々のビジネス活動の管理をより円滑にするためにERP ソフトウェアを導入している割合はグローバルが 45% なのに対し、日本では 23% と 20 ポイント以上低く、今後 1 年以内に ERP ソフトウェアの切り替えを積極的に検討している割合も低いことが判明している(グローバル平均:51%、日本:26%)。
さらに、日本の財務責任者は自社の ERP システムに関する、変更のしやすさや使い勝手の良さなどさまざまな機能性を評価していない傾向にあるといえるだろう。