働き方の変化とともに、コロナ禍で生まれたトレンドも深化した。テレワークのメモ行為から再評価を得た〝書く〟分野では「高級シャープペン」という新しい沼を創出しつつある一方で、段ボール開梱アイテムは開発競争がさらに活発化。よりディープでニッチな機能の実装が相次ぐ。
【書く】今年の2大トレンドは書き味の向上と静音設計
2022年の文具市場はペンの当たり年だった。そして昨年に負けず劣らず、今年も魅力的なペンの新商品が多数登場し、市場を大いににぎわせている。トレンドは大きく2つある。
ひとつは、長年続く高機能化だ。コロナ禍でテレワークが当たり前になったことで〝書く〟行為が再評価されたことは記憶に新しい。書き味の良さや使いやすさ、疲れにくさといったペン本来の魅力を求めるユーザーが増え、アナログ回帰の流れが加速しているのだ。
書き味の良さという点では、インクを改良したメーカーが目立つ。使いやすさ、疲れにくさという点では、ノック不要を推す三菱鉛筆とぺんてるに対して、ノック機構を手軽にしたサンスター文具との対比がおもしろい。また、シャープペンの高級化という新たな潮流も生まれつつある。もうひとつは、コロナ禍で変化した環境への対応。大っぴらに話せない生活を経験したことで、小さな音にも敏感になった人が増えた。そこでノックや筆記音などの音を抑えたボールペンのニーズが高まっている。
(1)ZOOM『ノック式 シャープペンシル「ZOOM C1」』7700円
ブランド創設38年目にリブランディング。独特のノック部分はもちろん、ボディー本体はジュラルミン合金を切削加工し、無機質で美しいフォルムを実現した。
〈 ココが〝沼〟POINT 〉空中に浮いたノック部が書く行為を楽しくさせる
軸とノック部をクリップで接合することで、まるで宙に浮いているようなデザインを実現。ノック下部が山なりになっているのもおもしろい。
(2)三菱鉛筆『KURUTOGA DIVE』5500円
芯を回転させることでシャープな書き味を持続する人気商品に、芯を送り出す量を調整しながら自動で繰り出す世界初の機構を融合。キャップ付きで特別感も高い。
〈 ココが〝沼〟POINT 〉世界初の機能を携えて高級シャープ人気の火付け役に
芯の摩耗量は、使用する芯の硬度や筆圧によって異なる。そこで筆圧や芯の硬度に合わせて芯の繰り出し量を5段階で調整できるつまみを搭載。
(3)ぺんてる『オレンズAT デュアルグリップタイプ』2200円
極細芯でも折れずに長く書き続けられるオレンズシステムと、ノック1回で書き続けられる自動芯出し機構を搭載。ノックの手間を省けるため、筆記に集中できる。
〈 ココが〝沼〟POINT 〉芯が折れない機能×ワンノック機構で筆が止まらない
製図用シャープペンを思わせる新形状のグリップを採用。ラバーと金属のホールド感が心地よく、低重心化によって長時間書いても疲れにくい。
サンスター文具『トプルS』各396円
ペン先部分を指で引いて芯を出すトッププル機構を搭載。ノックの際に持ち替える手間を省くことでスピーディーに芯が出せるほか、手首をひねる必要がなく、手首への負担を軽減するメリットも。ボールペンのようなフラットなデザインもいい。
〈 ココが〝沼〟POINT 〉時短と疲れ軽減を追求した指先ノック機構が超快適
指の握りを少し変えるだけで芯が繰り出せるので、作業が中断せずタイパ抜群。ノックするために手首をひねる動作がなくなることで長時間の筆記でも疲れにくい。
フリクション『フリクションボールノックゾーン』3300円
「薄い」「すぐなくなる」というフリクションインキの弱点を克服した新シリーズ。新開発の濃いインキと、インキ容量を70%増量した金属リフィルを採用している。新開発のチップホルダーはペン先のがたつきを防ぎ、安定して書ける。
〈 ココが〝沼〟POINT 〉ユーザーが待望した新開発の濃い黒インキ
新開発の「プレミアムフリクションインキ」を採用。従来のフリクションインキより濃度をブラックで30%アップし、視認性の高い濃い色での筆記が可能になった。