星空保護区認定がこれからの大野市へもたらすもの
ここまで、福井県大野市の南六呂師エリアが星空保護区認定を受けるまでの苦難の道を振り返ってきました。
関係者の多大な努力やエリアのみなさんの力強い助力があり実現した星空保護区認定。この認定は、大野市にとっても貴重な財産となりました。
大野市の石山志保市長は、ご自身も星空ハンモックのイベントに参加。「ハンモックがいっぱいだったので持参したゴザを広げて星空を眺めた」という市長。「市役所でも天の川が見られる大野の星空は、市民にとっては当たり前でした。しかし、『大野の星空を世界に誇ってもいいんだ〜って思った』と市民の方からご意見をいただき、改めて大野の星空の魅力に感心しています」と言います。
「ようやく中部縦貫自動車道が福井北ICまでつながり、高速交通のネットワークが広がっています。2023年10月28日に勝原ICから九頭竜湖近くの九頭竜ICまでが開通。令和8年春には岐阜県境の白鳥ICまで延伸して東海北陸自動車道につながる予定で、名古屋などの大都市へのアクセスが良くなります。越前大野城や九頭竜湖といった魅力的な観光名所が大野市にはありますが、国宝級とか世界遺産といった名所はありませんでした。そんな中、世界に誇れる大野市の星空が、多くの方を大野市に導いてくれるのではないでしょうか」と星空保護区認定による大野市の発展に、石山市長は期待感を持っています。
中部循環自動車道の延伸で東海北陸自動車道へつながると、中京圏とのアクセスが一層向上します。たとえば名古屋から大野までは現状2時間半程度とされますが、2時間10分程度に短縮されることが期待されています。
また、2024年3月16日には、北陸新幹線の金沢〜敦賀間が開業を予定しています。東京から福井までのアクセスが向上することで、首都圏からの観光客がさらに増えるかもしれません。
【参考】北陸新幹線 金沢-敦賀間 開業 | JR西日本 – JRおでかけネット
星空保護区認定を受ける自治体はこれから増える?
福井県大野市の南六呂師エリアが星空保護区認定を受け、今後の観光客増が期待されています。町おこしの新たなトレンドになる可能性は充分あります。
ただし、星空保護区の認定は、単に観光資源のためではありません。本来は「光害のない、暗い自然の夜空を保護・保存するための優れた取り組みを称える制度」であり、その活動は地域の自然環境の改善・維持につながるものです。
日本では西表石垣国立公園(沖縄県石垣市・竹富町)、神津島(東京都神津島村)、美星町(岡山県井原市)に続き、大野市が4番目の星空保護区認定となりました。認定には相応の苦労があるはずですが、今後、活動に賛同して星空保護区に指定される自治体が増えることに期待したいものです。
取材・文/中馬幹弘