星空保護区認定プロジェクトは大野市と福井工業大学が協定を結んだことで始まった
しかし、南六呂師エリアが星空保護区認定を受けるまでの道のりは、決して平坦なものではありませんでした。
認定に向けた動きは、大野市が福井工業大学と2018年3月に相互連携協定を締結したことが起源となりました。
福井工業大学の下川 勇教授によると、相互連携協定締結から「星空ハンモック」の社会実験などを実施しつつ、2019年には星空保護区の可能性調査が始まり、2021年に星空保護区申請チームが編成されました。
大野市から下川教授は「2023年度内に星空保護区の認定を受けて欲しい」と要望があったと言います。しかし、「ダークスカイ・インターナショナルに計画書を提出しても、予備審査だけで半年程度。その間に差し戻しが何度もあり調整を求められ、そこから半年程度経ってもOKが出るかどうかはわからない……認定には少なくとも8か月はかかる」と危惧していました。
そして、「南六呂師エリア内の公共施設の検査をし、光害になり得る照明から上に光がもれていないかチェックしたところ、基準がクリアできず全滅だった」そうです。
また、「キャンプ場などには野ざらし状態の照明も多く、本来、そういう場所での照明は、安全面を考慮すると明るくしたいもの。しかし、星空保護区になるためには暗くしたい……といった形で、現場のニーズと目標に乖離があった」と言います。そこで施設の人たちに、ソフト面で子供たちの安全を配慮して欲しいなどのお願いをし、エリアのみなさんからの力強い助力もあり、星空保護区の認定実現が前進したのです。
2021年の星空保護区新生チーム編成後、大野市施設屋外照明改修、福井県施設屋外照明改修、防犯灯・道路灯改修を2年あまりで完成しました。
さらに、ダークスカイ・インターナショナルの事務局と事前に密に連絡し、申請前に状況を確認してもらうといった地道な努力を積み重ねた結果、2023年に星空保護区申請を行ってから4か月、2023年8月21日にアーバン・ナイトスカイプレイス認定を受けたのです。
【参考】広報おおの号外(8月21日発行)
照明の改善にはパナソニックも尽力
南六呂師エリアでの照明改修には、パナソニックの高い技術が活用されました。
同社には、2020年1月に日本国内メーカーとして初めて、ダークスカイ・インターナショナルによる「星空に優しい照明(Dark Sky Friendly Lighting)」認証照明を取得した防犯灯、道路灯があります。
「星空に優しい照明」とは具体的には、
1.空に拡散しやすい〝青色光〟が少ない電球色で、3000K(ケルビン)以下の色温度
2.上方への光の漏れが一切無い、上方光束率0%
でなくてはいけません。その条件を満たした上で、ダークスカイ・インターナショナルからの厳格な審査に合格した照明だけが、「星空に優しい照明(Dark Sky Friendly Lighting)」と呼べるのです。
製品説明する、パナソニック株式会社 エレクトリックワークス社 マーケティング本部 中部電材営業部 北陸電材営業所 福井電材営業所 野中 厚志さん
パナソニックは2020年10月、南六呂師エリアで防犯灯の試験設置を行い、以降、認証を取得した防犯灯や道路灯を同エリアに約90台の導入を支援しました。
また、認証を取得した製品以外にも、上方光束を抑えた照明器具も多数展開しており、道路灯や防犯灯以外にも、南六呂師エリアの施設の軒下などの照明を、福井県大野市と福井工業大学と連携して選定し、光害に配慮したものへの置き換えを支援しました。