都会で暮らしているとなかなか眺めることができない、美しい星空。
一方、空気が澄んだ地方都市では、晴天であれば満天の美しい星空を眺めることができます。
ただし……地方暮らしをしていると、その美しい星空が〝当たり前〟と感じてしまうことはないでしょうか?
福井県大野市は県北部の東端にある人口約3万人の静かな町です。霊峰白山の支脈に囲まれ、市域の約87%が森林となる緑豊かな町には、県庁所在地となる福井市からJR越美北線(九頭竜線)で福井駅から越前大野駅まで約1時間。クルマでは約40分強で訪れることが可能です。
そんな大野市の東部にある南六呂師(みなみろくろし)エリアは、経ヶ岳の麓に広がる標高約500メートルの高原で、環境省主催の全国星空継続観察にて、同市大矢戸区が2004年に、2005年には南六呂師エリアが〝日本一美しい星空〟に選ばれたことから、全国でも有数の星空観察スポットとなっていました。
その美しい星空が〝星空保護区〟として国内4番目、「アーバン・ナイトスカイプレイス」のカテゴリーではアジア初の認定を2023年8月21日に受けたことで、市民にとっては当たり前に見られてきた南六呂師エリアの星空が、日本中、いや世界中から注目を集める特別な存在になったのです。
なぜ、大野市は星空保護区認定を受け、星空で世界発信ができるようになったのでしょうか? そこには関係者の努力と英知が詰まっていたのです……。
【参考】大野市公式ホームページ
大野市の南六呂師エリアが認定された星空保護区とは何?
ではここで、星空保護区とは何か? 簡単にご説明いたします。
星空保護区認定制度とは、光害問題に取り組むNPO団体「ダークスカイ・インターナショナル」(旧・国際ダークスカイ協会)が2001年に創設した「ダークスカイプレイス・プログラム」(和名:星空保護区認定制度)です。
「光害のない、暗い自然の夜空を保護・保存するための優れた取り組みを称える制度」であり、認定には、屋外照明に関する厳格な基準や、地域における光害に関する教育啓発活動などが求められます。
【参考】星空保護区とは
星空保護区は現在、6つのカテゴリーがあります。その中でも今回、大野市が認定を受けたのが「アーバン・ナイトスカイプレイス」と呼ばれるものです。
暗い夜間環境を保護・推進するための優れた取り組みを求められ、近隣の明るい都市の影響により他のカテゴリーでは認定が受けられない場所(都市公園、広場、展望台など)が認定されます。
大野市の南六呂師エリアは、福井市までクルマで1時間ほどしか離れておらず、都市からの光の影響を受けます。しかし、美しい星空を保つための環境整備への努力により、厳しい審査基準に合格したのです。