安全性をどう担保するか
以上のことからわかるように、日本(東京)の大手タクシーは時間をかけ人材育成をしたうえ、あらゆるデータを残し、万が一事故やトラブルが起きれば会社が窓口となり手続きを進める仕組みができている。
問題はライドシェアがどこまでそこに近づけるかで、ドライバー個人の営業スタイルではあまりに心もとない。最低限、行政かエリア内タクシー会社などの管理下に置く必要がある。
加えて、大都市では既存のタクシーをはじめとした公共交通の営業妨害にならないよう、ごく限られた範囲内の安価な短距離運送にせざるを得ない。つまり、大きな営業利益は期待できず、現在、東京の豊島区で実証運行が行われているmobiのような形で試行錯誤を繰り返すしかないだろう。
ちなみに、流し営業を行わずアプリからの注文のみに対応するサービスは、すでにタクシーアプリGOと日本交通が2023年3月から、アプリ専用車『GO Reserve』と専用乗務員『GO Crew』が稼働している。こちらを拡大していく方が安全性が高いと思われる。
一方、地方では対抗する公共交通が少なく、住民からのニーズも高いため可能性がかなり広がることが期待される。全国一律で是非を問うより、地域の実情に合わせた導入方法をさらに模索していくことが求められるのではないだろうか。
取材・文/西内義雄