近年、副業や趣味の延長としてネットショップを開設する人が増えている。「ドロップシッピング」は、在庫リスクやショップ運営にかかる手間を抑えながら、自分のショップを開ける販売システムだ。ドロップシッピングと同様、オンラインで商品販売を行うことで利益を得る「アフィリエイト」と混同されることも多いが、両者のビジネスモデルはまったく異なる。
そこで本記事では、ビジネス用語「ドロップシッピング」の仕組みやアフィリエイトとの違いについて解説する。最後に紹介する「ドロップシッピング」のメリットとデメリットも、この機会にチェックしておこう。
ドロップシッピングとは
まず、「ドロップシッピング」とはそもそも何かを見ていこう。ドロップシッピングの仕組みや始め方のほか、ドロップシッピングとアフィリエイトの違いも併せてチェックしてほしい。
在庫を持たずに商品を販売すること
ドロップシッピングとは、インターネットなどのデジタルチャネルを経由して、在庫を持たずに商品を販売するビジネスのこと。日本国内だけでなく海外でも多くの事業者が行っている商品販売形態だ。
ドロップシッピングの仕組み
ドロップシッピングでは、商品発送業務をメーカーや卸売業者に委託することで、事業者側が商品の仕入れや在庫管理、梱包や発送などを行う手間をかけずに商品販売ができる。一般的なドロップシッピングの流れは以下の通り。
1.事業者がオンラインショップを構える
2.オンラインショップで販売している商品の注文が入る
3.事業者側からメーカーや卸売業者に商品の注文情報を送る
4.メーカーや卸売業者が受注を受け付け、直接顧客に商品を発送する
ドロップシッピングの始め方
ドロップシッピングの始め方には、主に以下の2種類がある。
一つ目は、商品のメーカーや卸売業者と契約し、オンラインショップで商品を販売する方法だ。この場合、オンラインショップのオーナーが自ら、取り扱いたい商品のメーカーや卸売業者に交渉する。
二つ目は、仲介業者と契約する方法だ。この場合、仲介業者であるDSP(ドロップシッピング・サービス・プロバイダー)もしくはドロップシッピングASP(アフィリエイト・サービス・プロバイダー)と契約する必要がある。仲介業者は複数のメーカーと契約を結んでいるため、オンラインショップのオーナーは仲介業者が扱う商品のなかから希望するものを販売できる。
ドロップシッピングとアフィリエイトの違い
ドロップシッピングとアフィリエイトは混同されがちだが、これらは別のビジネス形態だ。アフィリエイトとは、選んだ商品のリンクをブログなどに貼って宣伝し、リンクをクリックした人が商品を購入したりすると、成功報酬として手数料を受け取る仕組みのこと。一方でドロップシッピングは、自分のオンラインショップで商品を売るため、オーナーが自ら商品の宣伝や受注、オンラインショップの管理など幅広い業務を行う。
ドロップシッピングのメリット
次に、ドロップシッピングの4つのメリットを見ていこう。
メリット1.在庫スペースや維持費が不要で、在庫過剰になるリスクが低い
販売者が在庫を持たないドロップシッピングでは、在庫を管理するためのスペースやコストが不要。また、在庫を持たないため、在庫過剰による収益減のリスクも低い。
メリット2.初期費用が安い
メーカーや卸売業者に委託する業務が多いため、初期費用が抑えられるのも利点の一つ。一般的な通販とは異なり、商品の仕入れや在庫管理、発送や梱包など多岐にわたる業務を外注できるため、初期費用を抑えてオンラインショップを運営できる。
メリット3.発送や梱包作業が不要
ドロップシッピングでは、発送や梱包をメーカーや卸売業者に委託するため、作業の手間が掛からない。オーナー側はマーケティングや商品選びに集中できるだろう。
メリット4.発送や配達業者とのコミュニケーションコストが低い
ドロップシッピングでは、商品在庫の管理や発送をメーカーや卸売業者に委託しているため、発送する際の配達業者とのコミュニケーションコストが低い。
ドロップシッピングのデメリット
ドロップシッピングにはメリットも多い反面、デメリットも存在する。導入を検討する際は、以下のようなリスクも把握したうえで決断するようにしたい。
デメリット1.競合多数で、利益が少なく商品の差別化が難しい
ドロップシッピングで販売できる商品には、多数の競合がいて商品の差別化が難しいケースがある。その場合、高額での販売は難しく、利益が少なくなることが考えられる。厳選した商品を販売したり、その他のサービスを充実させたり、価格競争を避けるために工夫して商品を販売する必要があるだろう。
デメリット2.外部業者の選定は慎重に
ドロップシッピングでは、発送業務をメーカーや卸売業者に委託するが、委託先で生じた梱包・発送に関するミスやトラブルはショップのイメージ低下に直結する。そのため、外部業者を選定する際には、適切な梱包や発送業務が行えるかどうかをしっかりと確認する必要がある。
デメリット3.直接見たことがない商品の販売は難しい
ドロップシッピングは、商品を仕入れない販売形態のため、実際に見たことや使ったことがない商品を販売するケースもある。この場合、オーナーはインターネット上で商品の情報収集を行ったり、具体的な使い方をメーカーに確認したりするなど、商品に関して理解を深めるための努力をする必要があるだろう。
※データは2023年10月上旬時点のもの。
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文/編集部