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輸血を介して脳出血のリスク因子が伝播する可能性、カロリンスカ研究所研究報告

2023.10.11

輸血を介して脳出血のリスク因子が伝播する?

多発性の突発性脳出血(intracerebral hemorrhage;ICH)の原因となる何らかの因子が、輸血を介して伝播する可能性があるとする研究結果が報告された。

研究論文の上席著者であるカロリンスカ研究所(スウェーデン)のGustaf Edgren氏は、輸血が原因で突発性ICHが生じる可能性は極めて低いとしながらも、「輸血が行われることは珍しくはないため、それに伴う潜在的な悪影響は公衆衛生上の重要な問題となり得る」と述べている。

この研究の詳細は、「Journal of the American Medical Association(JAMA)」に2023年9月12日掲載された。

多発性の突発性ICHの一般的な原因は、脳アミロイドアンギオパチー(cerebral amyloid angiopathy;CAA)である。

CAAは、脳の血管壁にアミロイドβが沈着することで血管が脆くなり、多発性の出血を来す病態を指す。近年、CAAが、人間の遺体から抽出された、アミロイドβとタウタンパク質で汚染された脳下垂体ホルモンや、神経外科手術などを介して、ヒトからヒトへ伝播し得ることが示唆されている。

スウェーデン、デンマーク、ベルギーの研究者らが共同で実施した今回の研究では、スウェーデンおよびデンマーク国内の血液バンクと健康レジストリのデータを用いて、献血後の献血者に生じた突発性ICHと、受血者での突発性ICH発症との関連が検討された。

対象者は、スウェーデンのデータでは1970年1月1日から、デンマークのデータでは1980年1月1日から2017年12月31日までの間に赤血球輸血を受けた5〜80歳の108万9,370人。スウェーデンコホート(75万9,858人、年齢中央値65歳、女性59%)はメインコホート、デンマークコホート(32万9,512人、年齢中央値64歳、女性58%)は検証コホートとされた。追跡期間中央値は同順で、5.8(四分位範囲1.4〜12.5)年と6.1(同1.5〜11.6)年であった。

解析の結果、スウェーデンとデンマークの両コホートにおいて、献血後に多発性の突発性ICHを発症した献血者の血液製剤を輸血された受血者が多発性の突発性ICHを発症するリスクは、多発性の突発性ICHを発症しなかった献血者の血液製剤を輸血された受血者の2倍以上であることが示された(スウェーデンコホート:調整ハザード比2.73、95%信頼区間1.72〜4.35、P<0.001、デンマークコホート:同2.32、1.04〜5.19、P=0.04)。

献血後に単発性の突発性ICHを発症した献血者の血液製剤を輸血された場合と発症していない献血者の血液製剤を輸血された場合では、受血者での単発性の突発性ICH発症について有意な差は認められなかった。

研究グループは、「この結果は、輸血を介して突発性ICHを引き起こす何らかの因子が伝播する可能性を示唆している」と述べている。

ただし、献血後に多発性の突発性ICHを発症した献血者の血液製剤を輸血されたのは、スウェーデンコホートで862人(0.1%)、デンマークコホートで448人(0.1%)であり、そのような血液製剤を輸血される可能性は極めて低かった。

研究グループは、本研究はCAAがヒトからヒトへ伝播し得るという考え方を裏付ける新たな結果を提供した点が重要であるとの見方を示し、「それが事実なら、CAAの伝播はさまざまな領域に悪影響を及ぼす可能性がある」と述べている。

今回の研究で得た結果を確認するために、研究グループは、デンマーク献血者研究バイオバンク(Danish Blood Donor Study Biobank)のサンプルを調査し、CAAに関連する異常タンパク質の同定が可能かどうかを確認する予定であると話している。

また、突発性ICHを発症した献血者と受血者のCTとMRIの画像データを入手して調査することも計画しているという。

論文の筆頭著者である、カロリンスカ研究所のJingcheng Zhao氏は、「この研究は因果関係を証明するものではないため、観察されたリスク増加は他の要因が原因である可能性もある。今回得られた知見を確認し、その潜在的なメカニズムを理解するためには、さらなる研究が必要だ」と述べている。(HealthDay News 2023年9月12日)

Copyright © 2023 HealthDay. All rights reserved.
Photo Credit: Adobe Stock

(参考情報)
Abstract/Full Text
https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2809417

Press Release
https://news.ki.se/risk-of-brain-haemorrhage-appears-transmissible-via-blood-transfusion

構成/DIME編集部

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