YouTubeは2023年9月21日に開催した「Made On YouTube」において、今までにない大胆な方法でコンテンツを作成、編集、共有できるAI を活用したツールを発表した。
このAI 搭載ツールによって、クリエイターやアーティストは、パワフルかつ新しい形のクリエイティブな表現方法を生み出し、そのプロセスをスムーズに進化させ、より多くの視聴者にコンテンツを届けられるようになるという。
その主な内容は以下のとおり。
YouTubeショートでの表現をさらに引き出す生成AI の新機能「Dream Screen」
プロンプトにアイデアを入力するだけで、AI が生成した動画や画像の背景をショートに追加できる新機能「DreamScreen」の試験運用が、年内に開始される。
Dream Screen を使えば、クリエイターは自身の想像を超える背景を、YouTube ショートの動画に追加することが可能になる。英語のみで日本での導入時期は未定。
誰もが動画を作成、共有できるように新モバイルアプリ「YouTube Create」を発表
このアプリでは、正確な編集やトリミングを含む動画編集ツール、自動字幕起こし機能、ナレーショ ン機能、フィルター、エフェクト、トランジション、ビートマッチング技術によるロイヤリティフリーの音楽ライブラリへのアクセスが可能で、複雑な編集ソフトを使うことなく、YouTube 用に動画を作成できる。
現在、米国、ドイツ、フランス、英国、インドネシア、インド、韓国、シンガポールを含む一部の市場で Android向けのベータ版 YouTube Createが無料で利用できる(日本は対象外)。
AIでインスピレーションを得て、新しい視聴者へ
さらにYouTubeでは、クリエイターの負担を軽減して、より効率的なツールを提供することで、クリエイターが新しいアイデアを思いつき、新しい視聴者にリーチできるよう、以下の要領で支援を行なう。
・YouTube Studio は生成 AI を活用して、動画のアイデアを生み出し、アウトラインを作成することで、クリエイターのアイデア出しをサポートする機能を来年導入する。
これらのインサイトは、各チャンネルごとにパーソナライズされ、視聴者がクリエイターのチャンネルおよび、YouTubeで視聴しているコンテンツに基づいて提供される。
・クリエイターが、自身の母国語以外の言語を話す視聴者にリーチできるようにする、 AI搭載の吹き替え機能「Aloud」を導入する。これは現在、一部のクリエイターが利用可能で、英語、ポルトガル語、スペイン語で試験運用中だ。日本の導入時期は未定。
・YouTube Studio は生成 AIを活用して、動画のアイデアを生み出し、アウトラインを作成することで、クリエイターのアイデア出しをサポートする機能を来年導入する。
YouTube Studioでは、クリエイター向けの AI 搭載ツールの初期バージョンをテストしており、調査対象者の70%以上が、動画のアイデア開発に役立っていると回答している。
YouTube 最高経営責任者(CEO)ニール モーハン氏は、今回の発表に際して次のように述べている。
「本日、私たちは、難しいことを シンプルに、不可能なことを実現可能にして、クリエイターとアーティストのクリエイティブな表現をさらに押し広げるのに役立てるツールを発表しました。世界中のクリエイターに対して、彼等が好きなコンテンツを簡単に作れるように することは、何十億もの人々の手にクリエイティブな力を届けるという YouTube のコミットメントの中核をなすものです」
そしてYouTube 音楽部門グローバル責任者 リオ コーエン氏も、このように話す。
「大胆でありつつも責任ある行 動、それが私たちの使命です。AIの持つ可能性は非常にエキサイティングなものです。しかし、どんな新しい技術も そうであるように、私たちは責任を持ってこの使命に取り組まなければなりません。
現在、アーティスト、作詞・作曲 家、プロデューサーが創り出しているものは、人間の手によるものであって、テクノロジーでは決して置き換えること はできません。私たちは AI を、アーティストらが創造性を拡大し、加速させるために使用するツールだと考えています。
そして、現在グローバルに展開している『AI Music インキュベーター』においても、私たちはクリエイティブなコ ミュニティとともに協力し合うことをお約束します。また、私たちの原動力である音楽業界との深いパートナーシップに も注力し、創造性を刺激し、ビジネスを前進させるという私たちの共通の目標を達成するために、音楽業界と協力し合います」
関連情報
https://youtube-jp.googleblog.com/2023/09/made-on-youtube-2023.html
構成/清水眞希