国内初、折込チラシとデジタル広告の同指標比較を実現
電通は新聞折込チラシの来店効果を可視化して、出稿メディアの選定や配布量、予算の最適化への活用を可能とするソリューション「チラSeeCycle(チラシーサイクル)」を開発。顧客企業向けに提供を開始した。
本ソリューションは、折込チラシによる来店効果を、実際の折込チラシ投下量や位置情報データを活用して把握する国内初の取り組みとなっており(特許登録済み)、チラシの投下量や配布エリアプランニングへの活用を実現していく。
加えて、データクリーンルーム(※1)を用いることで、折込チラシとデジタル広告の来店効果を同じ指標で比較できる分析手法も実装しており、同社では「メディア横断での予算配分最適化や、マーケティングROI(投資対効果)の最大化を支援していきます」とコメントしている。
「チラSeeCycle」による算出イメージ
折込チラシは、来店促進を目的として現在も多くの企業で活用されているが、効果を検証するソリューションが確立されていないことが課題の一つだった。
従来は、一時的にチラシの配布を止めて効果を測定する手法もあったが、配布を止めたエリア・止めていないエリアの特性の違いを踏まえた分析は結果の読み解きが難しく、その期間の売り上げが下がってしまうリスクもあるため、現実的には、実施が難しい手法となっていた。
また近年、スマートフォン上のデジタル広告や、店頭サイネージをはじめとしたリテールメディアなど、来店促進施策の選択肢は増え続けている。
広告予算全体の配分を検討する上では、これらと折込チラシの効果をできるだけ同じ指標で比較する必要があるが、これまではそれが難しかったために、折込チラシは切り分けて評価せざるを得ず、マーケティング全体の中での最適化が進んでいない領域の一つでもあった。
折込チラシとデジタル広告それぞれの生活者への接触有無を推計
今回開発した「チラSeeCycle」は、大規模な位置情報データと統計的な処理を用いて、折込チラシへの接触確率を算出し、その確率と人の群単位のさまざまなデータを統合することで、来店効果を計測できるソリューションだ(特許第7124240)。
さらにデータクリーンルームを用いることで、「折込チラシの接触判定パネル」と「デジタル広告接触データ」を人の群単位で統合し、折込チラシとデジタル広告それぞれへの、生活者の接触有無を推計することができるという。
これにより、「CPA(顧客を1人増やすのにかかる費用)」という同じ指標で来店効果を評価することができ、折込チラシとデジタル広告の予算配分や、投下すべきエリアの最適化を図ることが可能となる。
現在、大手小売クライアントでの導入が決定しており、今後も実店舗を持つさまざまな企業での導入を支援していく予定とのこと。
なお「チラSeeCycle」は、同社が提供するさまざまなデータクリーンルーム活用ソリューション(TOBIRAS Insight / TOBIRAS Activation / TOBIRAS Measurement / TOBIRAS Optimization)のうち、測定・評価に関するカテゴリー「TOBIRAS Measurement」のプロダクトの一つで、システム基盤「TOBIRAS※2」と連携することでスピーディな運用を実現する。
今回の運用開始について同社では、「当社は今後も、データクリーンルームを活用した本ソリューションの仕組みを、ダイレクトメールなど他のオフラインメディアにも拡張しながら、オフライン/オンラインを統合した来店効果の可視化を行い、顧客企業のマーケティングの効率化・高度化に貢献してまいります」と述べている。
※1 プラットフォーム事業者が広告主・広告会社などに提供するクラウド環境。プライバシーが保護された環境下で、プラットフォーム事業者の保有データと、企業の1st Partyデータ、その他複数の外部データを、さまざまなニーズに応じて柔軟に統合、分析することが可能。
※2 複数のデータクリーンルームの一元管理や、データの転送・分析を自動化できるシステム基盤。
関連情報
https://www.dentsu.co.jp/
構成/清水眞希