予算は「5万円前後」が一つの目安?
さて世界の人々は世界のカジノを日々訪れている。真剣勝負をしているプロなどを除いて、一般人がカジノの「余暇活動」にかける予算はどれくらいなのか。今回はイギリスとポーランド、オーストラリアの直近の様子を現地に詳しいカジノ関係者にヒアリングした。尚、通貨の変換は2023年9月16日のレートを採用している。
まずイギリスとポーランドにおいては、UK カジノ・ジェネラル・マネージャー職に就いているルーカシュ・カリノフスキー氏(Mr. Lukasz Kalinowski)に話を伺うことができた。
同氏によると、イギリスではルーレットの最低賭金はロンドン以外では1~5ポンド(約 180円~920円)でロンドンから遠くなるほど最低賭金は低くなる傾向があるという。ロンドンのカジノでは最低賭金は通常5ポンドだが、メイフェア地域では25ポンド(約4,600 円)になることもあるようだ。
カードテーブルは、ロンドン以外では5ポンド(約920円)から始まり、ロンドンカジノでは10ポンド(約1,830円)~25ポンド(約4,600円)、また50ポンド(約9,200円)など様々のようだ。
メイフェア ザ・パームビーチカジノやザ・リッツ・クラブ等がある(2016年撮影)
他方ポーランドでは、ワルシャワ、クラクフなどの主要都市ではルーレットは最低5PLN(約170円)から、カードテーブルは最低 25PLN(約 850 円)。小都市のルーレット最低賭金は2.5PLN(約85円)、カードテーブルの最低額は10PLN(約340円)のようである。
電子ゲームはイギリスとポーランド両国ともに手頃な価格で設定され、スロットマシン類はロンドン以外では10ペンス、ロンドンのカジノでは50ペンス~1 ポンド。ポーランドでは10グロッシ(0.10PLN)から参加できるそうだ。
イギリスのマスプレーヤーの平均 Drop Per Visit (1 回の滞在で使う金額)は、ロンドン以外ではおよそ 300~500 ポンド(約54,900円~約91,500円)、ロンドンでは約500~1,000ポンド(約92,000円~約183,000円)。ポーランドでは、クラクフやヴロツワフでは約3,000PLN(約102,000円)、カトヴィツェやワルシャワの主要都市は 6,000PLN(約204,000円)に達するという。
その他、ポーカープレーヤーの消費額は幅広いようだが、イギリスのトーナメントプレーヤーは 1 回の訪問につき約 50 ポンド(約 9,200 円)、またそれ以下もあると伺った。
イギリスとポーランドでは、マスプレーヤー予算は「5万円前後~20万円まで」が1つのラインと考えられる。
それではオーストラリアはどうであろうか。ゴールドコーストカジノの直近の様子を現地出身のカジノ関係者にインタビューした。
Source: World Poker Tour The Star Gold Coast Event Album
まずブラックジャックの最低賭金は50豪ドル(約4,800円)。バカラはカード絞りができるテーブルは50豪ドル(約4,800円)、絞れないテーブル(face up)は30豪ドル(約2,900円)とのことである。スロット関連に関しては、1スピン1~2豪ドルで複数ラインに賭けることができる。
同地域のマスプレーヤーの DPV は平均して500~1,000豪ドル(約47,500円~95,000円)ほど。オーストラリアでも、マスのカジノ予算は5万円前後からのようである。
では「5万円前後の予算」というのは、国内ではどんな消費活動や対象品があるだろうか。いくつか例を挙げてみよう。
有名テーマパークでの滞在、ちょっと贅沢な1泊2日の温泉旅行、ブランド品の財布や靴の購入、久谷焼や有田焼、古伊万里、三河内などの和食器セット、骨とう品類、著名人のディナーショー、パートナーや知人との相撲観戦や歌舞伎見学など色々ある。毎日はできないが、決して”手が出せないほど”の消費や余暇活動ではないと思われる。
「いやいや、5万円はしんどい!」
と感じた場合は、「カジノ&ギャンブルの深層」シリーズ4で紹介した、カジノルツェルンCEOブリーム氏の「カジノを楽しむための予算は人それぞれで、20スイスフラン(約3,300円)から可能」を見習うこともできる。同施設のアナログ式テーブルゲームの最低賭金は5フランであるため、4回はベットできる。カジノ体験には十分な金額であろう。
カジノ予算は予め決めていても、ショッピングで「衝動買い」をしてしまうように現場で突然変更してしまうことはある。是非、タガが外れることなく、各自のボーダーラインを保っていただきたい。
取材・文/かじのみみ
カジノライター/ カジノコンサルタント
カジノ、ギャンブル、IR業歴31年。ディーラー歴25年。1992年より全国各地で開催された120件以上の「模擬カジノ」の企画、運営、ディーリング業に携わる。2008年から米系大手カジノ企業のVIPマーケティング・通訳・経理担当。2013年8月に同企業を離れフリーとなり、IRの誘致活動に従事。2020年以降は、カジノとギャンブル関連の執筆、スポットコンサル、通訳業に専念し、現在に至る。大阪生まれ、横浜・インドボンベイ育ち