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パナソニックHD、国際医療福祉大学、善光総合研究所が高齢者と遠隔家族をつなぐデジタル同居サービスの研究開発を開始

2023.09.29

パナソニック ホールディングスと国際医療福祉大学、善光総合研究所は、戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第3期における「包摂的コミュニティプラットフォームの構築」課題の研究開発テーマの一つとして採択(※1)された「高齢者と遠隔家族をつなぐデジタル同居サービスの開発」(以下、本研究開発)について、老親(高齢者)と離れてくらしている家族(遠隔家族)とがデジタル技術を用いてあたかも同居しているようなつながりを実現し、高齢者の孤独感や遠隔家族の負担を軽減し双方のWell-being最大化を目指すデジタル同居サービスの研究開発を開始した。

<本研究開発の概要図>

概要

内閣府総合科学技術・イノベーション会議が府省・分野の枠を超えて自ら予算配分し、基礎研究から出口(実用化・事業化)までを見据えた取組を推進する戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第3期(2023~2027年度)において、「包摂的コミュニティプラットフォームの構築」課題の研究開発テーマの一つとして「高齢者と遠隔家族をつなぐデジタル同居サービスの開発」が採択された。

「デジタル同居」とは、今後、増加する独居高齢者と遠隔家族がデジタル技術を用いて、あたかも同居しているようなつながりを実現し、高齢者の孤独感を低減しつつ、遠隔家族の負担軽減を実現し、高齢者と遠隔家族の双方のWell-being最大化を目指すコンセプト。

パナソニックHD、国際医療福祉大学、および善光総研が互いに連携し、技術に加え、事業、社会的受容性、制度、人材の5つの視点から取組みを進め、デジタル同居サービスの社会実装を目指す。

取組みの背景:2040年にむけた将来推計

日本の少子高齢化の加速を背景に、65才以上の一人暮らしの人が増加(※2)している。近年、健康寿命は延伸の傾向(※2)にあるが、より高齢になる程、買い物や通院など、生活に何らかの助けを必要とする割合が高まると考えられる。

「日本の世帯数の将来推計」(※3)によると、2020年から2040年にかけて、世帯総数は、5,411万世帯から5,076万世帯へ、335万世帯の減少となる反面、「75才以上高齢者を世帯主とする単独世帯」は、396万世帯から512万世帯へと、116万世帯の増加が推計されている。

一方、高齢者を支える現役世代(15~64才)の人口は、2020年から2040年にかけて、7,509万人から6,213万人へ、全体の17%にあたる1,296万人が減少(※2)する。特に、女性は、労働力としての期待から就業率が増加し、仕事・家事・育児において多面的な役割を担っていることから、“老親の介護は同居の専業主婦が担う”というモデルは成立が難しくなっている。

また、世帯構造の変化は著しく、高齢者のいる世帯構造の推移(※4)において「三世代同居世帯」は、1989年から2019年の過去30年間で、41%から9%へ大きく低下。それにより、要介護者等の主介護者が「別居の家族等」である割合が増加(※4)しており、遠隔家族が老親の暮らしを支援できるサービスのニーズは大きく増加すると予測される。

本研究開発の方向性

本研究開発チームでは、このような日本の将来を見据えた時、今後、社会から期待され、不可欠になる技術は、健康寿命のさらなる延伸のために高齢者自身が介護予防やセルフケアができるテクノロジーであり、より高齢となり生活に助けが必要となっても、尊厳を守りながら一日でも長く自立生活を継続できるテクノロジー、さらに、同居していない子世代の心身の負担を軽減しつつ、家族としてのつながりを基盤に暮らしの満足度を高めるテクノロジーだと考えている。

本研究開発では、遠隔家族に着眼し、デジタル技術を活用することで、離れていても、あたかも同居しているようなつながりを持ち、高齢者の行動変容を促し、健康維持や社会参加を通じて、生きがい感を高められる社会技術として「デジタル同居」というコンセプトを仮説におき、以下を目標に推進を行なう。
・高齢者のセルフケア促進や介護予防を可能とする社会技術の創出
・Well-being最大化を目指す高齢者と遠隔家族のコミュニケーション手法の開発
・デジタル同居サービスプラットフォームの提供を通じた社会実装の実現
・在宅高齢者支援にむけデジタル技術の活用スキルを有する人材の育成

【三者の役割と各取組み】

●パナソニックHD(研究開発責任者所属機関)
・デジタル同居サービスを構成するデバイス・ソフトウェアの複合技術の開発
・高齢者の生きがい感向上と遠隔家族の満足度に資するサービスプラットフォームの構築
・自治体におけるデジタル同居サービスの実証
●国際医療福祉大学
・データ活用スキルの習得に資する教育ツールの開発と介護支援専門員等の育成
●善光総研
・デジタル技術・機器の活用スキルとスマート在宅ケアの実現力を備えた在宅特化型スマート介護士(仮称)の育成

各々の役割を担いながら、互いに連携して開発・実証を推進し、社会実装を目指す。

※1 研究開発責任者の採択について|国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所
※2 令和5年版高齢社会白書(全体版)|内閣府
※3『日本の世帯数の将来推計(全国推計)』(2018(平成30)年推計)|国立社会保障・人口問題研究所
※4 2021年国民生活基礎調査の概況|厚生労働省

関連情報
https://holdings.panasonic/jp/
https://www.iuhw.ac.jp/daigakuin/
https://zenkou-lab.co.jp/

構成/立原尚子

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