三井住友DSアセットマネジメントはこのほど、同社チーフマーケットストラテジストの市川雅浩氏がその時々の市場動向を解説する「市川レポート」の最新版として、「2023年度前半の日本株の振り返りと今後の相場展開を考える」と題したマーケットレポートを公開した。レポートの詳細は以下の通り。
日経平均、TOPIXとも春先の好材料に4-6月期は急騰も、7-9月期は夏枯れ相場で伸び悩む
今回のレポートでは、2023年度前半の日本株の動きを振り返り、今後の相場展開を考える。まず、日経平均株価について、2023年4-6月期は+18.4%と大きく上昇したものの、続く7-9月期(9月は25日まで、以下同じ)で-1.5%と低迷し、4-9月期では+16.5%となった。東証株価指数(TOPIX)は4-6月期が+14.2%、7-9月期は+4.2%で、4-9月期では+19.1%となっている。
スタイル別、業種別指数の4-9月期騰落率は図表の通りだが、これらも、おおむね4-6月期に大きく上昇後、7-9月期に低迷、という傾向がみられた。
春先は、インバウンド(訪日外国人)需要の回復や、東京証券取引所(以下、東証)の要請(企業に資本コストや株価を意識した経営を要請)などの好材料が株価を押し上げたものの、夏場は海外投資家の買いがやや一巡する場面もみられ、「夏枯れ相場」になったと推測される。
スタイル別、業種別でみた場合、2023年度前半は「大型」、「バリュー」、「高配当」選好の流れに
なお、3月期決算企業による今年度の業績予想は、4-6月期の決算発表を終えた8月中旬時点で、総じて慎重なままだった。そのため、業績予想の改善がないまま株高が続くよりも、夏場の株高一服は、極めて健全な動きといえる。
さて、改めて図表に目を向けると、スタイル別では、「大型」、「バリュー」が優位であることが明確で、TOPIX500バリュー指数の7-9月期の騰落率は+28.6%に達している。
業種別では、東証33業種指数のうち、上昇率の大きい10指数をみると、こちらも「大型」、「バリュー」が連想される業種が並んでおり、また、「高配当」という要素も含まれるように思われる。
一方、上昇率の小さい10指数は、多くが外需に分類される業種だった。2023年度前半は、東証の要請を受けた企業が資本効率改善に動き始め、海外投資家がそれを評価し、大型、バリュー、高配当選好の流れが形成されたと考えられる。