長い間、日本の戸建て平均坪数は 30-40 坪だった。
それが近年、30 坪以下の家が増えている。地価や建材の高騰といった理由だけで、狭小住宅がこれほど注目されているのだろうか。
今回は住宅のプロフェッショナルである一級建築士・宅地建物取引士であるネクスト・アイズ(株)住宅コンサルタントの森下明さんに、狭小住宅が注目されている理由と、メリットとデメリットなどについて聞いてみた。
狭小住宅の相談は増えている
――はじめまして!ネクスト・アイズさんは住宅に悩む多くの人々の相談にのって来られましたが、狭小住宅に関する相談は増えていますか?
森下さん 私どもネクスト・アイズは、2004 年より、業界初の独立中立機関として、一般消費者の皆さまの公正・中立なアドバイスと、住まいづくりのお手伝い(コンサルティング)を行っております。これまでに 18,202 世帯のお客様のお手伝いをさせて頂きました(2023 年 7 月現在)。
そんな中で、30坪以下のご相談は増えています。以前は、都心6区のエリアにおいて、狭小住宅の相談が多かったのですが、近年、同エリアの狭小地自体が少なくなっているため、都心6区での相談数は減りましたが、東京23区、東京に隣接の首都圏という範囲でみれば、狭小住宅の建築の相談は増えています。
相続時の納税対策のため、大きな土地を売却し、最低敷地面積で分割された狭小地や、空き家となった都心の実家を解体更地にした狭小地などに、狭小住宅を建てる事例も増えています。
――なぜ、狭小住宅に注目が集まっているのでしょうか?
森下さん 理由はいろいろありますが、代表的なものとして、
1)建物坪単価が上がっている中、土地建物の総費用を抑えることができる
2)都内で同面積の新築マンションを購入するよりも値段が安い
3)立地が良く、将来の資産として活用できる(賃貸として運用、高価格で売却)
4)設計に依っては、採光や収納も多く確保でき、安価に快適な空間が実現できる
こうした4つの点があげられます。
YAZAWA LUMBER社による台東区の狭小住宅のリビングダイニング