暑さもひと段落して、風や空に秋の気配を感じますね!月を眺めながら秋の夜長を楽しみたいものですが、のんびりもしていられません。本格的なワインの季節です。私、シニアソムリエの植田真未にとって、また、ワイン業界にとっても重要な、11月のボジョレーヌーヴォーの準備が、いよいよスタートしました。
今年の解禁日は11月16日。出来具合が心配されますが、7月までは「非常に良かった」という評判でした。それ以降、どんな状態なのか、現地からはまだ詳しい情報が届いていません。最近は温暖化の影響で、完熟ぶどうが収穫されるので、今年もいい年になるのではないか?というのが業界関係者の間でささやかれています。
準備に忙しいとはいえ、毎日の食卓に美味しいワインは欠かせないもの。秋の夜長にお薦めしたい最高のワイン、6本を紹介しましょう。テーマは「未来へつなぐ=Link to the future」です。
ワインはぶどう栽培からスタートして、醸造所でワインとなって完成します。生産者は自分が作るワインに情熱を注ぎながらも、子どもや孫たちの未来のために、より良い形でバトンタッチする努力を惜しみません。そんな生産者の造るワインに、Link to the future=未来へつなぐ今を感じながら、味わってはいかがでしょうか?
ビジネスシーンでもLink to the futureを意識する機会は増えているはず。持続可能な社会への実現を意識しているあなたにこそ、お薦めしたいワインです。
若者達と醸造家による、誇りの再結晶
生き生きとした爽やかで晴れやかなワイン!
1. サン・パトリニャーノ ヴィエ 2020(白ワイン)
生産地:イタリア / エミリア・ロマーニャ
生産者:サン・パトリニャーノ
ぶどう品種: ソーヴィニヨン・ブラン 100%
味わい:辛口
サン・パトリニャーノは、1978年、紺碧のアドリア海を臨むエミリア・ロマーニャ州リミニの丘に設立されました。創業以来、高品質なワインの数々を送り出し、イタリア国内外の権威あるガイドブックからも賞賛を受ける造り手の一つです。
このワイナリーが世界的に有名なのは、若者達を麻薬の連鎖から断ち切るための画期的な試みにあります。麻薬中毒の若者らが技術習得と社会復帰を目的として、家族のように絆を深めながら、ブドウの栽培からワインの醸造、酪農から生ハムや乳製品の加工、テキスタイル、プロダクトデザインなど様々な事業に従事しています。その現場では、各分野ともイタリアトップクラスの専門家が技術指導に携わることでも、知られていいます。
ぶどうは全て手作業で選別、収穫されます。若者らが取り戻した「誇りの結晶」とも言えるワインはテロワールを見事に表現し、著名なレストランやワインバーでもオンリストされるとともに、トレ・ビッキエーリをはじめとする栄誉ある評価を獲得しています。
ヴィエはソーヴィニヨン・ブラン100%の白ワインです。青リンゴ、レモン、グレープフルーツ、ハーブ、青草など品種の特性が表現された爽やかな香り。口当たりはやさしくフルーティーでミネラル感もあり生き生きとした酸味と苦みが印象的で エレガントな味わいが特徴です。
パーカーポイント100点を獲得し、スターダムへ
有機農法から造られるエレガントで洗練されたワイン!
2. コート・デュ・ローヌ・ブラン ル・カイユ 2022 (白ワイン)
生産地:フランス / コート・デュ・ローヌ
生産者:ル・クロ・デュ・カイユ
ぶどう品種:グルナッシュ・ブラン、ヴィオニエ、クレレット
ル・クロ・デュ・カイユは、現当主シルヴィ・ヴァシュロンが1996年に父のドメーヌを継承し、スターダムへのし上がったシャトーヌフ・デュ・パプの生産者です。2010年に全てのぶどう畑が有機農法の認証を受け、2007年からビオディナミも一部の畑で実践しています。
自然を尊重しながら定期的に土壌を耕し、除草剤や化学品はいっさい使用しません。畑への手当は硫黄と銅のみという徹底ぶりです。自然や宇宙との調和に敬意を払いながら、牛の角に詰めた堆肥や石英を、ブドウ畑に撒いています。
ル・カイユは最もベーシックなキュヴェ(ワンポイント講座を残照)で、砂質土壌がもたらすミネラルを感じる洗練された白ワインです。アプリコットのマリネ、白桃、フレッシュなピンクグレープフルーツやユズの鮮烈なアロマ。まろやかでフレッシュ、洋ナシやパイナップル、柑橘の皮の風味が広がります。