人生初の宣誓供述書
軽減税率適用のための届出は、徹頭徹尾オンラインで実施可能である。
「サービス」「映画やテレビのロイヤリティ」「その他の著作権のロイヤリティ」に分けられ、それぞれ異なる条項で区分されている。途中で「日本で使用している納税者番号」を入力するよう求められるが、これはマイナンバーを記載すれば問題ない。
実際にこの作業をやってみて「あっ、確かにこれはアメリカらしい仕組みだな」と思った点がある。「ステータスに変更がない旨の宣誓供述書」というものが存在する部分だ。筆者は生まれて初めて、宣誓供述書などという海外ドラマでしか見たことない代物に筆を走らせてしまった。
なお、これは契約書でもあるため控えのPDF書類はあとでダウンロードできるようになっている。重要書類だから、万が一にもデータが消えてしまわないよう厳重に保管しておきたい。
租税条約の重み
この申請を通して、筆者は改めて「二国間の租税条約」の重みを知ることができた。
確実な徴税を実施しつつも、二重課税により経済活動を阻害しないためには両国が納得できる内容の租税条約は必要不可欠。
たとえば日本は1967年にブラジルと、1995年にシンガポールとの租税条約を発効している。なぜブラジルとシンガポールを例に出すかというと、この2国はアメリカとの租税条約を今でも結んでいないのだ。
YouTuberの配信活動と居住国の外交姿勢が決して無縁ではないことを、察していただけるだろうか。「無縁ではない」を通り越して、もはや密接に関連していると言い切るべきだ。
そして、2国間関係が悪化した時に真っ先に影響が出るのは租税条約だということも忘れてはならない。「租税条約を停止する」ということは、相手国に対する経済制裁を意味する場合もある。
そもそも租税条約とは、お互いの利害をギリギリまで擦り合わせてようやく形にしたもの。それを一部改訂するだけでも膨大な時間を要するのが当然なのだ。
日本のYouTuberは、その恩恵を土台にしながら今日も配信活動に打ち込んでいる。
【参考】
YouTube での収益に関する米国の税務要件-YouTube
https://support.google.com/youtube/answer/10391362?hl=ja
我が国の租税条約等の一覧-財務省
https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/international/tax_convention/tax_convetion_list_jp.html
取材・文/澤田真一