2. 転売された盗品の所有権は誰にあるのか?
盗まれた物の所有権は、原則として真の権利者(=盗まれた人)に残ります。
したがって、盗んだ人には所有権がないので、第三者に対して有効に所有権を移転することができず、盗品の所有権は盗まれた人に残り続けるのが原則です。
ただし、取引行為(購入など)によって平穏かつ公然に動産の占有を始めた者は、前主(盗んだ人など)に所有権がないことにつき善意無過失(=知らず、かつ知らないことについて過失がなかったこと)である場合に限り、その動産の所有権を取得できます(民法192条)。
これを「即時取得」といいます。
即時取得が成立した場合は、真の権利者は動産の所有権を失います。
しかし盗品については、真の権利者(=盗まれた人)を保護する観点から、盗難・遺失の時から2年間はその物の回復を請求することが可能です(民法193条)。
なお、占有者が以下のいずれかの方法によって善意で盗品を買い受けた場合には、回復請求の際に代価を弁償しなければなりません(民法194条)。
・競売
・公の市場における購入
・同種の物を販売する商人からの購入
取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
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