街中のさまざまな場所に設置されている「AED」。自動車などの運転免許を取得する際に、講習で扱い方を学ぶ機会があるかもしれないが、正式名称や正確な使い方を覚えていない人も意外と多いはず。
そこで本記事では、「AED」の正式名称や特徴を詳しく解説する。正しい使い方や注意点も併せてチェックしてほしい。
「AED」とは?
まず、「AED」の正式名称と特徴、混同されがちな「DC」との違いを見ていこう。
Automated External Defibrillatorの略称
「AED」は“Automated External Defibrillator”の略称で、読み方は「オートメイティッド・エクスターナル・ディフィブリレイター」。日本語では「自動体外式除細動器」と表す。AEDは、電極パッドを通じて電気ショックを与えることで、突然の心停止や呼吸停止を起こした傷病者の心臓の脈拍を正しいリズムに戻す役割を果たす。
駅や空港などの不特定多数の人が行き交う場所に設置されており、誰でも安全に扱えるため緊急時に役立つ医療機器だ。
AEDの特徴
AEDは、傷病者の心臓部に貼った電極パッドから自動で心臓の状態を解析し、心身細動を確認すると強い電気ショックを流すという特徴がある。
事故や原因不明の発作により心肺停止を起こしてしまった場合、1分経過するごとに生存率が10%ずつ低下するといわれる。そのため、救急隊員が到着するまでの間に適切な対応が求められる。救命措置を行う際は、人工呼吸などの心肺蘇生と併せてAEDを使うことが重要になるだろう。
「DC」との違い
「DC」は“Direct Counter shock”の略称。読み方は「ダイレクト・カウンター・ショック」で、日本語では「直流除細動器」と表す。心房細動・心室頻拍・心室細動などの緊急性が求められる不整脈の治療において、手動で心臓に電気ショックを与える医療機器だ。 街中に普及しているAEDと異なり、DCは医師や医師の指示のもと医療関係者のみ扱うことができる。
AEDの使い方は?
次に、AEDを扱う際の正しい手順とモードの切り替え方法について解説する。AEDを用いて人命救助するシーンを想像しながら確認していこう。
正しい手順
現場で倒れている傷病者を発見した場合は、冷静な判断と対応が求められる。AEDを扱う際の手順は以下の通り。
1.AEDを傷病者の横へ置き、電源を入れる
2.電極パッドを心臓付近に貼りつける
3.心電図の解析を行う
4.ショックボタンを押して電気ショックを与え、心肺蘇生を再開する
5.脈が正常に戻らない場合は、心肺蘇生・AEDの手順をくり返す
近年、ショックボタンを押さなくても自動で電気ショックが行われる「オートショックAED」も徐々に普及している。従来タイプのAEDとの間に操作手順上の大きな違いはなく、音声ガイダンスをよく聞きながら操作を進めれば誤作動の心配はいらない。
しかし、咄嗟に対応できるかどうか不安がある場合は、設置されているAEDに「オートショックAEDロゴマーク」があるかどうかを確認しておくと安心だ。
年齢層に応じてモードを切り替える
AEDパッドは、未就学児から大人まで幅広い年齢層に対応している。機器の蓋を開くと右下に見える装置に「モード切り替えスイッチ」があり、このスイッチを操作することで年齢層に合わせた処置を施せる。ただし、ガイドラインのバージョンによっては表記が異なり「成人小児切り替えスイッチ」と記載されている機器もある。
AEDの注意点
最後に、AEDを扱う際の注意点を紹介する。作動時のアクシデントを避けるためにも、あらかじめよく確認しておこう。
貴金属アクセサリーを外す
傷病者がネックレスなどの電気が通りやすい貴金属アクセサリーを身に付けている場合、そのままAEDを使った応急手当を進めると電気ショックの効果が半減したり、スパークを引き起こしたりする恐れがある。まずは傷病者が貴金属を身に着けていないかを確認するようにしよう。
ペースメーカーを植え込んでいるか確認する
傷病者の体にペースメーカーが植え込まれている場合は、電極パッドを8cm程度離してから作動させよう。ペースメーカーの真上にパッドを貼りつけてしまうと、正確な心電図を解析できないほか、十分に電気ショックの効果が得られない可能性があるため注意したい。
音声ガイダンスに従って操作する
AED本体が起動すると、操作の進め方を案内する音声ガイダンスが流れる。このガイダンスでは、心電図の解析中や電気ショックを与える際に必ず傷病者から離れるよう促される。電極パッドは作動時に強い電流が流れるため、傷病者に触れている人にも同様に電気ショックが加わってしまう。正しく注意点を理解していれば安全に扱えるので、必ず音声ガイダンスをよく聞きながら落ち着いて対応するようにしよう。
※データは2023年9月下旬時点のもの。
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文/編集部