テレビ番組内で頻繁に使用される「VTR」という言葉。身近な表現であることから、意味を理解できる人は多いものの、VTRが何を略した言葉なのかをすぐに答えられる方は意外と少ないはず。
そこで本記事では、VTRの意味やVTRに類似した言葉の意味を紹介する。豆知識としてぜひ覚えておこう。
VTRは何の略語?
VTRという言葉は、映像用語のほか、人気バイクの車種を表して使われる場合もある。2通りの意味とそれぞれの正式名称を見ていこう。
Video Tape Recorder
VTRは一般的に“Video Tape Recorder”の略語として使用されることが多い。ビデオテープレコーダーは、磁気テープを利用して映像や音声の記録、再生を行う装置のことで、単に「ビデオ」と呼ばれることもある。
また、ビデオテープレコーダーによって記録された映像自体のことをVTRと呼ぶこともある。この用法ではDVDやスマートフォンなど、ビデオテープレコーダー以外の記録媒体に記録された映像についてもVTRと表すことが多い。テレビ番組で使われるのは、こちらの意味合いだ。
V-TWIN RoadSports
VTRは、本田技研工業株式会社(ホンダ)から生産されていたバイク「V-TWIN RoadSports」の略称として使用されることもある。名前の由来にもなっているVツインエンジンがもたらす走行の安定性に加え、高速走行への適性も備えた人気モデルだ。
1998年に初期モデルが発売された後、複数回にわたるモデルチェンジを重ねたが、現在は生産終了モデルとなっている。
VTRという言葉は死語になる?
先述の通り、VTRはビデオテープレコーダーの略語だが、現在ではカセットテープを使用する形式のビデオテープレコーダーはほとんど使用されていない。そのため、VTRという言葉は多くの場合「ある媒体によって撮影された映像全般」を指して使われている。
例えば、テレビのバラエティ番組で「それではVTRをどうぞ」という文言を耳にすることは多いが、撮影機材がビデオテープレコーダーでなくても、意味はしっかりと視聴者に伝わっているはずだ。本来の意味である「テープ」からは離れてしまっても、VTRという言葉は死語とならずに今後も使用されていくことが予想される。
VTRに関連する言葉の意味は?
次に、VTRに関連する言葉をいくつか紹介する。文字や読み方が類似しているものも多いため、混同しないよう注意してほしい。
VAR
VARは、“Video Assistant Referee”の略語として使用されることが多い。ビデオアシスタントレフェリーとは、主にサッカーの試合においてビデオ映像を用いながら審判のサポートを行う役職のことだ。
ただし、あくまで主な判定を行うのはピッチに立つ審判陣であり、VARはあくまでも重大な見逃しを指摘するための補助的な役割を担う。また、VARの判定を介入させるかどうかの判断も主審に委ねられているため、その名の通りアシスタントという立ち位置で試合に携わることになる。
VCR
VCRは“Video Cassette Recorder”の略称で、読み方は「ビデオカセットレコーダー」。VTRがテープを使用する機器を指すのに対し、VCRはカセットを使用する機器を指す。
「カセット」はテープなどを収納するための容器のことで、VTRとおおよそ同じようなタイプの機器を指して使われる。
VHS
VHSは“Video Home System”の略称で、日本ビクター株式会社(現在はJVCケンウッド)が開発したビデオテープ規格の名称。日本語読みはビデオホームシステムとなる。
1976年に発売され、2000年代に映像記録媒体の主流がDVDやBlu-ray Discとなるまで、ビデオテープの標準規格として活躍した。
DVD
DVDは“Digital Versatile Disk”の略称で、オーディオやコンピューターの記憶媒体としても利用できるディスク型の記録媒体を指す。“Versatile”は英語で「多目的な、多用途の」を表し、映像以外の記録にも多目的に使用できることが名前の由来となっている。
読み出し用のDVD-ROM、一度限りで書き込みが行えるDVD-R、書き換えが可能なDVD-RW、DVD-RAMなど、用途に応じたさまざまな規格で展開されている。
VTRの言い換え表現
記録装置としてのVTRを言い換える場合、「ビデオ」「レコーダー」「テープレコーダー」など、略さずに伝えると伝わりやすいだろう。記録された媒体の意のVTRを言い換える場合、「映像」「収録された映像」といった表現が使える。また、テレビ番組ではVTRをさらに略して「V」と呼ぶこともある。
【例文】
「それではこちらのVをご覧ください 」
文/編集部