デジタルマーケティングにおいて、ユーザーの追跡や広告などに有効活用されていた「サードパーティCookie(クッキー)」。近年、法律で規制が進められている。これからどのように対応していくべきか、クッキーレス時代のマーケティング施策について、専門家に話を聞いた。
クッキー規制とは?
2022年4月の「改正個人保護法」、そして2023年6月16日施行の「改正電気通信事業法」により、クッキー利用の規制が進んだ。
クッキーとは、Web上におけるユーザーデータを含むファイルのことで、Webサイト側がユーザーを識別するために使用されている。
クッキーには2種類がある。
ファーストパーティクッキー:訪問しているWebサイトから直接ユーザーのコンピュータに送信される。
サードパーティクッキー:訪問しているWebサイトとは異なるドメインから送信される。主に広告などを通じて送信されることから、第三者が関係する。
サードパーティクッキーは、マーケティングにおいてターゲティングによる広告表示など、さまざまに利用されてきた。しかし第三者がユーザーの知らないところでオンラインでの行動を追跡できることに不安の声が上がり、規制が設けられるきっかけとなった。
このような背景から、デジタルマーケティング従事者たちは、これまでサードパーティクッキーを活用していたリターゲティング広告やオーディエンスターゲティング広告が配信できなくなったり、Googleアナリティクスでの計測精度が低下したりと、施策精度の低下や活用範囲の縮小などが懸念されている。
クッキーレス時代の新たな戦略のポイント
サードパーティクッキー規制により、これから企業はどのようなデジタルマーケティング施策へと舵を切っていけば良いか。
マーケティング支援を行う株式会社Asobicaの取締役 CCO 小父内信也(おぶない・しんや)氏に話を聞いた。
「クッキーレス時代により、従来のデジタルマーケティングのアプローチは通用しなくなり、新たな手法の確立や顧客との関係性の見直しが迫られています。見直しのポイントは大きく2つあります」
1.顧客体験の最適化
「今後は、顧客が自ら共有する質の高い情報をもとにパーソナライズされたコンテンツを提供するなど、顧客体験を最適化する動きが加速していくでしょう。そのためにはオウンドメディアやオンラインコミュニティによって、ファンとの直接的な接点を企業が自ら運用していく必要があります」
2.信頼関係の構築
「個人情報の取り扱いや利用について透明性や公平性を担保し、よりプライバシーやセキュリティに配慮した姿勢が必須となります。できるかぎり不安を取り除き、企業と顧客が互いに信頼し合える、心地よい関係性が求められていくでしょう」