日頃、テレビやネットのニュースで見聞きする「ICT」という言葉。使われているシーンから何となくニュアンスは掴めるものの、「ICT」の正しい名称や意味を理解している人はあまり多くないのではないだろうか。
そこで本記事では、「ICT」正式名称や言葉の意味、「ICT」と「IT」「IoT」との違いを解説する。最後に紹介するICTの活用場面や身近な事例も、この機会にぜひチェックしておこう。
ICTとは
ICTの正式名称は“Information and Communication Technology”。日本語では「情報通信技術」と呼ばれる。情報通信技術は、スマートフォンやPCなどのデバイスを用いながら、インターネット回線を経由してデジタル化された情報のやりとりを行う技術のことを指す。
「ICT」と「IT」「IoT」との違い
次に、「ICT」と混同しやすい「IT」「IoT」の意味やそれぞれの違いを見ていこう。
「ICT」と「IT」の違い
ITは“Information Technology”の略称で、日本語では「情報技術」と呼ばれる。情報技術とは、デジタル機器や、デジタル化されたデータ・技術のことだ。
技術の発展によりデジタル通信量が増加した今、「IT」よりも一歩進んだ「ICT」という言葉が用いられることが多くなった。 しかし日常会話においては、この2つの用語を同じようなニュアンスで使用するケースも少なくない。
「ICT」と「IoT」の違い
IoTは“Internet of Things”の略称で、直訳すると「モノのインターネット」となる。
IoTは、あらゆるものがインターネットに繋がる状態またはその技術のことを表す。実際に、スマートフォンやPC、タブレットだけでなく、テレビや電子レンジなどの身近なデバイスや自動車、それらを作る工場の機器についてもインターネットへの接続が可能なモデルが普及している。
なお、IoTがモノとインターネットの関係性に焦点を当てている一方、ICTは人と人を繋ぐ通信技術を表しており、両者には視点の違いがある。
日本でのICT活用シーンや事例
最後に、国内でのICTの活用シーンや具体的な事例を紹介しよう。
教育分野でのICT活用シーン
教育現場では、デジタル端末の教科書や電子黒板でICTが活用されている。デジタル端末の教科書を使用することで、拡大や縮小表示、動画を用いての内容補足のほか、生徒の理解度の向上や、学習ログによる学力分析も可能となった。
また、電子黒板については、板書にかかる時間の短縮化、欠席者に対する授業内容の周知、印字する紙面の削減などの効果が期待できる。生徒の情報リテラシーの形成にも繋がることから、教育機関では積極的にICTの導入が進められている。
医療・介護分野でのICT活用シーン
医療・介護の現場では、患者情報を共有する目的でのICT活用が推進されている。
介護サービス業界では、病院や訪問介護施設などの施設間のコミュニケーションが日常的に発生する。この時、ICTを活用してデータ化された利用者情報を共有すれば、資料を保管するスペースの確保や費用が不要になる。さらに、検索機能によって必要な情報を素早く探し出すことも可能となり、業務効率化が図れる。
総務省が実施している施策例
総務省は、インフラ整備や地方活性化など、幅広い範囲でICT施策を実施している。ここでは、あらゆる施策のなかでも3つの代表例を紹介しよう。
1. 中小企業向け支援
中小企業を対象とする、業務の効率化や生産性の向上を目指した支援を行っている。具体的な施策としては、クラウドサービスの導入推進や地方活性化のためのベンチャー事業者へのサポート、データ共有やIoTの導入にかかる経費への減税などが挙げられる。
2. 医療・介護分野での情報化推進
医療・介護分野では、少子高齢化を考慮し、健康寿命の引き延ばしや医療・介護サービスの充実化を目的にICT活用を進めている。代表的な施策としては、遠隔地にいても医師から診療を受けられる「遠隔診療」、医療情報をデジタル化して保管する「電子カルテ」の導入が挙げられる。
3. ふるさとテレワーク、地域情報化アドバイザー派遣制度
ふるさとテレワークは、地方などの遠隔地にいながら都市部の仕事に従事するための環境や設備を整える施策。都市部に集中している人口を地方へ分散させることで、都市部以外の地域の経済活性化を目指している。
また、地域情報化アドバイザー派遣制度は、2007年から開始された施策で、地域の担当者にICT活用のアドバイスを行う専門家「地域情報化アドバイザー」を対象地域へ派遣している。なお、一度申し込むと最大3日まで派遣が可能で、専門家への交通費や謝礼金の支払いは不要だ。
※データは2023年9月下旬時点のもの。
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文/編集部