AI(人工知能)関連の話題の中で、見聞きする機会も多い「プロンプトエンジニアリング」という言葉。前後の文脈からなんとなくニュアンスは読み取れるものの、正確な意味を理解できていない人はそう多くはないのではないだろう。
そこで本記事では、「プロンプトエンジニアリング」の意味と重要性、適切なプロンプトを設計するコツを解説する。併せて紹介するプロンプトエンジニアリングの学習方法や関連性の高い資格についても、ぜひこの機会にチェックしておこう。
プロンプトエンジニアリングとは
プロンプトエンジニアリング(Prompt Engineering)とは、AI(人工知能)から意図する出力を得るために、質問や指示・命令を設計する技術のことだ。ChatGPTやNotionAIなどをはじめとする生成AIは、人間が指示する命令(プロンプト)の内容によって、出力されるコンテンツのレベルや質に差が生じやすい。そのため、より適切なプロンプトを入力するスキルが必要とされている。プロンプトエンジニアリングによって適切なプロンプト設計が行われれば、高い精度で希望する出力内容を取得でき、作業の効率化にも繋がる。
ちなみに、プロンプトエンジニアリングの「プロンプト」とは、生成AIに回答を促すために表示するテキストのことを指す。
効果的なプロンプトを設計するためのコツ
期待する出力を得るために必要なプロンプト設計のコツは、以下の3点だ。
1. 具体的で明確な指示
1つ目は、具体的で明確な指示をプロンプト内で与えること。AIに回答してほしい内容について、具体的事例を交えながら伝えることで、意図する回答が得られやすくなる。また、箇条書きや回答対象となる情報範囲を指定する文言の活用も有効な手段だ。
2. 背景情報の提供
2つ目は、プロンプト内でAIに背景情報を提供すること。なぜその指示をしているかなどの背景をAIに伝えることで、精度の高い出力や生成物が得られる可能性が高まる。
3. わかりやすく簡潔な言葉の使用
3つ目は、AIに伝わりやすい簡潔な言葉を使うことだ。専門用語を用いた難しい指示文を設計するのではなく、簡潔でわかりやすい言葉を使いながらプロンプト設計することで、希望する回答を得られやすくなる。
また、AIの混乱を避けるために、複数のタスクや質問を一気に与えるのではなく、一つずつ与えるように注意しよう。
プロンプトエンジニアリングの習得方法
ここからは、プロンプトエンジニアリングの習得方法を確認していこう。
独学
プロンプトエンジニアリングは、ウェブサイトやブログ、書籍を読むだけでなく、他の人のプロンプトを分析したり、自身で作成したプロンプトを検証・設計したりすることで独学も可能だ。
プロンプトエンジニアリングに関するトピックについては、オンライン上でも活発に議論されており、コミュニティ活動も積極的に行われているため、ぜひ活用したい。
プロンプトエンジニアリング試験の受験
プロンプトエンジニアリング試験の受験・学習を通じ、学びを深めるのも一つの手。この試験は、ギブリーが2023年5月に開発したもの。プロンプトの基礎知識やAIモデルの特徴のほか、テクニックやプロンプト設計時の注意点など、幅広い分野の問題を解くことによって、プロンプトエンジニアリングに必要なスキルや知識レベルを測ることができる。
スクール通学
体系的にプロンプトエンジニアリングを学びたい人におすすめなのは、スクールに通う方法だ。プロンプトエンジニアリングに必要なAIの基礎知識からプログラミングまで、実践的な内容を学びながらAIエンジニアを目指すコースを開講するスクールもあるため、一からプロを目指したい場合は検討してみよう。
プロンプトエンジニアリングに関連する資格
最後に、先に紹介したプロンプトエンジニアリング試験以外の関連資格をいくつか紹介する。より専門性の高い知識を身に付けたい方はぜひチェックしてほしい。
G検定
G検定(ジェネラリスト検定)とは、事業に活かせるレベルの深層学習モデル(ディープラーニング)に関する知識や能力をどのくらい保有しているかを確かめるための試験だ。民間団体である日本ディープラーニング協会(JDLA)が実施しており、ディープラーニングや人工知能の技術、機械学習に関する問題が出題される。なお、2023年の第3回試験の合格率は68.75%。
Python3エンジニア認定基礎試験
Python3エンジニア認定基礎試験は、アプリ開発やデータ分析など、さまざまな分野で活用できるプログラミング言語「Python」の知識に関する試験。Pythonの仕組みや基本的な使い方、文法やオブジェクト指向プログラミング、制御構文などが出題対象となっており、正答率70%以上が合格ラインとされている。
Python3エンジニア認定データ分析試験
Python3エンジニア認定データ分析試験は、データ分析に必要なスキル・知識に関する試験だ。試験はコンピュータを利用して実施されるCBT方式。試験問題は、データ分析の基礎から応用までの知識やスキル、Pythonの基礎的な文法など幅広い範囲から40問の選択式問題が出題される。この試験も、正答率70%以上が合格ラインとなる。
※データは2023年9月下旬時点のもの。
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文/編集部