Googleは、ネット上での嫌がらせやいじめに関するYouTube全体としての取り組みと、日本における対応について見解を表明した。
本稿では先日、YouTube公式ブログに掲載されたその内容を抜粋、再構成してお伝えしていく。
YouTubeは、全てのクリエイターが安心して自分の声・メッセージを発信することができ、さらにそれを見た人が感想や意見を届けたりすることで、コミュニティを共に作り上げていくことができる場だ。
しかし、その一方で、行き過ぎた発信や表現は、脅迫や身体的特徴に基づく侮辱など、憎悪や嫌がらせに発展する可能性がある。
人材、システム、プロダクトへの投資
YouTubeは、YouTube のコミュニティを安全に保つことを目的にコミュニティガイドラインを設けている。このガイドラインでは、YouTube で許可されること、禁止されることが定められており、動画、コメント、リンク、サムネイルなど、 YouTube 上のあらゆる種類のコンテンツに適用される。
YouTube では、ネット上での嫌がらせやいじめ、およびヘイトスピーチについては、ハラスメントやネットいじめに関するポリシーと、ヘイトスピーチに関するポリシーの下、厳しく取り締まっており、該当するコンテンツの迅速な削除に努めてきた。
これらのポリシーは、クリエイターや、ハラスメントやネットいじめ対策の専門機関などとの意見交換を経て作成されている。違反コンテンツの検出については、問題となる可能性のあるコンテンツを AI が特定し、その後、人間のコンテンツ審査担当者が YouTube のポリシーに違反しているかどうかを確認を行なう。
ポリシーに違反しているコンテンツは削除し、そのデータは、システムによる今後の自動検出率を高めるための AI のトレーニングに使用される。
YouTube では、自動システムによる検出の精度の向上により、ポリシーに違反するコンテンツが多く再生されない、または一切視聴されることのないよう努めており、2023 年第 1 四半期、YouTube全体で、一回も再生されずに削除されたのは 40.4% で、1−10 回の再生だったのは 31.9%だった。
この他にも YouTube では、不適切と思われるコンテンツを YouTube のユーザーからも報告を受けている。
さらに、分野によってはより詳しい専門知識を持つ政府機関と非政府組織(NGO)に、「YouTube 優先報告者」として、YouTube のコミュニティガイドラインに違反するコンテンツを高い精度で YouTube に報告を受けているという。
たとえば、日本の法務省人権擁護局は、ヘイトスピーチに関するポリシーや、ハラスメントやネットいじめに関するポリシーの領域で、「YouTube 優先報告者プログラム」に 2021 年から参加している。
YouTubeでは上記の取り組みを実行するために必要な人材やシステムへの長期的な投資を行ない、違反コンテンツを適宜削除している。そして、その結果を毎四半期、YouTube 透明性レポートにまとめて公開している。
2023 年第 1 四半期、グローバルで、嫌がらせやネットいじめ、悪意のある表現、嫌がらせ行為を理由に削除された件数は、チャンネルが 8万7000 件以上、動画が67万件以上、コメントが7900 万件以上だった。
インターネット上の情報に対するリテラシーを高める
ネット上でのいじめや嫌がらせについて、これまでも YouTube では厳しく取り締まってきたが、様々なアプローチでこの問題に向き合う必要があることは明確だ。
2023 年6月28日には、インターネット空間の安全を守ることは業界全体の責任であるとの認識から、クリエイターエコノミー協会が設立した誹謗中傷対策検討会 Googleとして参画し、業界横断でこの課題に取り組んでいる。