ハイレゾ伝送をワイヤレスで実現!多数のスピーカーに同時接続できるWi-Fiオーディオシステム「ミュートラックス」って何?
2023.09.25ゴン川野のPC Audio Lab Wi-Fiオーディオシステム「ミュートラックス」
ワイヤレスと言えば、Bluetoothスピーカーが頭に浮かぶが、それとは全く違う発想から伝送方法にWi-Fiを選択したエンジニアがいた。ミューシグナル代表取締役の宮崎晃一郎氏である。発想の発端は、ハードオフに格安で売っているスピーカーを復活させたいという思いからだった。そこからクラウドファンディングを使って、Wi-Fiを使ったワイヤレスオーディオシステム「ミュートラックス」を製品化したのだ。
Wi-Fiを使うメリットは音質劣化がない、それと多数のスピーカーに同時接続して同期して鳴らせる。5GHz帯を使うので携帯電話や電子レンジなどの影響を受けずに音が切れにくい。そして、屋内も屋外も伝送距離が長いことなどが挙げられる。クラファンは無事目標金額に到達して、製品は支援者の元に届けられ、10月からは一般販売が開始される予定だ。できたてホヤホヤの製品を仙台から持参してくれた宮崎さんにお話をうかがった。
同時に複数のスピーカーを鳴らしたい
「ミュートラックス」の具体的な開発のきっかけは、仙台のイベントで屋外のイベントで複数のスピーカーから同じ音楽を流せないかという相談受けたことに始まる。有線は許可されていないため、無線で音楽を飛ばす必要がある。FMトランスミッターも試すが、音質が悪く雑音も入るためNG。Bluetoothでは距離が不足で、1対複数で鳴らせない。
そこで宮崎さんが考えたのがWi-Fiを使う方法だった。調べてみると1対1のシステムはあったのだが、1対複数がなかった。なぜなら複数のスピーカーの同期を取るのが難しく音がズレてしまうからだ。音楽にしても音声にしても各スピーカーからの音がズレてしまうと途端に不快な音になってしまう。昨年の6月にプロトタイプを作り、3ヶ月ぐらいで実用化した。それをプロの映像音響、放送通信のイベント「Inter BEE」に出展したところ大きな反響があったという。
「初日に日経で取り上げられて、その後はミュートラックスを見るためにInter BEEを訪れたという方もいて、NHK、SONY、YAMAHAなどの大手の方も見に来ました」と宮崎さん。そんなにニーズがあるなら製品化しようと、昨年、クラウドファンディングを立ち上げ目標金額の861%を達成して無事終了している。
15W+15WのクラスDアンプを内蔵したミュートラックス子機