OpenAIとの提携でソフトバンクを出し抜く
房野氏:楽天モバイルについてですが、そろそろ明るい話題も話したいですね。
石川氏:ChatGPTで一躍注目されているOpenAI社との提携を発表したのはびっくりしました。ソフトバンクグループの孫さんがあれだけCEOのサム・アルトマン氏と友だちだ、仲良しだと言って、国内最大級のOpenAI提携はソフトバンクがやるんだと言ったところを、見事にかっさらった三木谷さん、すごいなと。なんかいろんな意味で面白かった。
石野氏:あれはしてやったりですね。いつも三木谷さんは孫さんの後追いみたいに言われるじゃないですか。ミニ孫さんとか二番煎じみたいに。今回はかっさらっていった感があったと思いました。
石川氏:サム・アルトマン氏とそんなに仲が良いんですか? と三木谷さんに聞いたら、「いや、カラオケは行っていない」ってね。カラオケ基準なんだと(笑)
石野氏:そこでカラオケっていうワードを出しちゃダメでしょとはちょっと思いましたね(笑)
石川氏:そこが三木谷さんの良いところじゃない、人たらしなところ(笑)
法林氏:だからダメなんじゃん。そんなことを言っているからダメなんだよ(笑)
石野氏:カラオケはNGワードだろと思いながら、ちょっと可愛いなって思いました。
石川氏:話を戻すと、三木谷さんは、楽天はAIのベースとなるデータをたくさん持っていると言っていた。ユーザーのIDがあって、しかも購買履歴を持っているので、それとAIを組み合わせることによっていろんなことができる。OpenAIはそういうところに可能性を感じて楽天と手を組んでくれた、という話をしていた。なるほどな、一理あると思った。楽天はネットワーク的にはエッジコンピューティングをやろうとしていて、そこにAIを入れるとも言っている。例えば楽天市場で買い物する時にAIが働いてくれて、ユーザーに最適な買い物を提案してくれるとか、楽天トラベルで旅行のいろいろなサジェスチョンをしてくれるというようなAIサービスを楽天モバイルが提供できたら、またちょっと世界は変わるかなと。データを活かせるので、ソフトバンクに先んじてやっていけるかなと思いました。
石野氏:今は通信品質ならドコモよりいいですから。渋谷区屋外ではですけど(笑)
法林氏:屋外に限定して、ね。ビルの中に入ると厳しい。逆に言うと「今、ドコモはつながらないでしょ。ウチの回線を980円で入れませんか?」みたいなことを楽天モバイルはやってもいいと思うんですよ。僕は三木谷さんの不用意な発言もダメだとは思っているけど、マーケティングが全面的に弱いんじゃないかと感じている。CMOの河野奈保さんは発表会で登壇すると華やかだし、以前インタビューもしたし、すごく良い人だと思うけど、楽天カードや楽天市場、楽天銀行とかに突っ込んで行ってガシガシやるようなことはできないんだなと思った。
楽天グループ株式会社 副社長執行役員 兼 楽天モバイル株式会社 CMO 常務執行役員 河野奈保氏
石川氏:ちょっと中途半端ですよね。楽天経済圏を生かし切れていないし、モバイルとしての営業自体もできていないというか。今だったらそれこそeSIMでデータプランだったらお試しで使えるんだから、法林さんがおっしゃったように、いきなり使い放題2980円じゃなくて、3GBくらいをお試しで使えてエリアチェックできるようなプランなりQRコードなりを、ばら撒いて使わせるようなことをしてもいいと思った。
石野氏:ほんとそうですよね。
法林氏:一時期、QRコードを読み込むことでpovoのギガがもらえる、みたいなものがあったじゃない。ああいうものでもいい。
石川氏:メルマガをたくさん配信しているんだから、そこにQRコードを付けるとかさ。ただ、秋以降、KDDIとのローミングの話し合いが終わって以降、本格的にマーケティングすると言っているので、それでどうなるか。ちょうど新しいiPhoneが出るタイミングだと思うので、このタイミングで楽天がどうアクセルを踏んでくるか見もの。