■連載/阿部純子のトレンド探検隊
家事をメインで担う人が寝込むと「非常事態」に!「かぜ備え」することの重要性
全薬工業のかぜ薬ブランド「ジキニン」は、かぜへの備えを習慣化するきっかけにしたいと、「9(急)2(に)9(来る)かぜ」=9月29日を「かぜ備えの日」として申請、日本記念日協会により正式な記念日として登録された。
全薬工業では、生活者の暮らしにゆとりをうむことを目的とした「ゆとりうむプロジェクト」の参画企業である、旭化成ホームズ、旭化成ホームプロダクツ、マルコメ、アクアの4社と連携し「かぜ備えプロジェクト」を始動。家族が急にかぜをひいた時に慌てないための「かぜ備えリスト」を発表した。
リストはゆとりうむプロジェクトのサイトからダウンロードできるので、壁や冷蔵庫などに貼って家族のかぜ備えに役立てたい。
家事も情報もシェアしておこう
かぜのような日常のひとコマのような出来事でも、共働き家庭にとっては生活のルーティンが崩れてしまい「非常事態」になり得るので、かぜへの備えは災害対策と同様に考えた方がよい。
未就学児、小学校低学年の子どもがいる共働き家庭では、夫・妻の体調不良、特に家事をメインで担う人が寝込んでしまうと日常が回らなくなる。体調不良の状態で、無理に家事・育児をすることで、かぜが長引いてしまうケースもある。
自身が寝込んでいる時でも学校、幼稚園、保育園から急な呼び出しがあった時は対応しなければならず、家族がかぜをひいた時でも看病したり、病院に付き添ったり、普段と異なることが発生するので、体力的にも精神的にもきつくなる。
困りごととして挙げられるのが食事と情報のシェア。平時でも家族のために食事を用意するのは手間がかかるが、自身が寝込んでしまった時の食事の支度は苦労を伴う。家族の食事だけは無理をしてでも3食用意するという人も多い。
ある程度、家事を分担している家庭であっても、情報のシェアをしていないことから、ものが置いてある場所、ゴミ出しのスケジュールや分別方法がわからないといった困りごとが発生する。
ゴミの分別に関しては、ペットボトルは潰すが、缶は潰さずに出すなど細かいルールがある。地域によってもルールが異なるので、普段やっていない人にはわかりにくく、情報を共有しておくようにする必要がある。
対策として、かぜ薬や体温計、保健証を家族の分かる場所に常備、頻繁に使う日用品はできるだけまとめて収納し、見やすく整理する。
最近増えている冷凍庫での食品ストックも、中に何が入っているのか、入れた本人しかわからないということよくあり、備えとして中身がわかりやすいように整理をしたり、冷蔵庫内の収納地図を作って、見やすい場所に貼っておき、誰が見てもわかるようにシェアすることが必要。
また、買い物は普段から家族と一緒に買い出しをして、いつも買っているものを把握していればよいが、買い物をしないでも1週間ほどは生活できる備えをしておくのが理想。
利用者の多いネットスーパーに関しても、いつも決まった人が注文していると家族がログインできないこともあり、ID、パスワードの情報のシェアともしておくと良い。
かぜのときも時短ごはんで一汁三菜
レンジで温めればすぐに食べられるおにぎりやごはん、食材の肉、魚、野菜、果物を冷凍保存しておく。簡単にメインのおかずが完成する下味をつけた冷凍の肉や魚、簡単に味が決まる市販の調味料を常備しておくと便利。
手軽に飲めて体が温まるスープ類は重宝するので、常温保存できるインスタント味噌汁やスープ、簡単に味噌汁ができる顆粒味噌なども用意しておくと良い。
体調を崩した時は特に水分補給が大切になるので、食塩やミネラルが豊富な経口補水液、のどの痛みがあるときでも摂取しやすいビタミンゼリーも常備しておく。経口補水液はペットボトルタイプだと場所を取るという場合には、パウダータイプを備蓄して置くと良い。
かぜのような数日間の備えがあれば十分なら、野菜も冷凍にしてストックするのも有効。併せて、災害時の停電にも役に立つ日持ちのするフリーズドライの野菜、缶詰もストックしておくといざというときに重宝する。
昨今浸透してきた、普段使いしながら備蓄するローリングストックだが、気づいたら全部なくなっていたということもありがちだ。
ローリングストックが苦手な人におすすめなのが、半年ごとの入れ替え。備蓄用として箱を用意して、そこに非常時用の食材を入れておく。普段はその箱には手をつけずに、半年に一度入れ替える形で備蓄用を普段使いに回して、箱には新たに半年分入れる形で、6か月ごとに入れ替えをして、備蓄用としてきっちりと分けておく。
かぜのときこそ便利な「ほったらかし家電」に頼ろう
平時でも忙しい共働き家庭は、ボタン1つで家事を片付けてくれる洗濯機や食洗機、自動掃除機などを使って、日頃の家事の総量を減らしておくことで、体調の優れない時でも引き継ぎや心配事を減らすことにつながる。
家族全員が洗濯機や食洗機の使い方を把握して、洗剤のストック場所がわかるようにしておく。アイロンのように、毎日は使わないが生活には欠かせない家電の使い方もシェアをしておくと良い。
逆に、時短調理に便利で人気の高い自動調理鍋のような、普段使わない人が使うと手間取ってしまう家電もある。非常時にも簡単に使える家電、シェアしてもあまり便利さが感じられない家電を分けて考えてみる必要もある。
【AJの読み】「かぜ備えリスト」を習慣化すれば普段の生活でも役立つ
コロナウイルスが5類感染症になり、コロナ前のようなマスクを外した生活を送る人も多いが、今年の夏は季節外れのインフルエンザが流行して、学級閉鎖のニュースも聞かれる。
これから冬に向けて本格的なかぜ、インフルエンザのシーズンを迎えるため、今回のような「かぜ備え」の準備が大切な時期に入ってくると言える。
かぜ備えリストを見ると、かぜという非常時のみならず、普段の生活でも活用できる時短、効率的な家事に役立つ項目が並んでいる。「防災の日」に災害への備えを見直すように、家族でかぜへの備えを習慣にしてもらえたらと、ゆとりうむプロジェクトが昨年から始めた「かぜ備え」活動。急にかぜをひいても慌てずに、ゆとりをもって休めるように、生活者も「かぜ備え」を習慣にしていくように心がけたい。
文/阿部純子