炊飯器のほぼ全てのモデルに、炊いたお米を食べごろの温度に保ってくれる「保温」機能が搭載されています。
便利な機能ですが、長時間保温機能を使っていると、どれくらい電気代がかかるのか気になるという人もいるのではないでしょうか。保温機能にかかる電気代によっては、炊いたお米を冷凍保存し、電子レンジで解凍したいと考える人もいるはずです。
そこで、炊飯器の保温機能にかかる電気代や、電子レンジとどちらがお得か、比較してみました。
炊飯器の消費電力量、電気代ってどれくらい? 保温にはどれくらいの電力を使う?
まずは、炊飯器の消費電力量、電気代について押さえておきましょう。
経済産業省が公表している「省エネ性能カタログ電子版リスト(2023年8月1日)」を見ると、ジャー炊飯器の年間消費電力量は、3合以上5.5合未満が平均51.12kWh、5.5合以上8合未満が平均84kWhとなっています。
年間電気代で見ると、3合以上5.5合未満は平均1381円、5.5合以上8合未満は2267円となります。
消費電力量の内訳より、保温時の消費電力量を確認すると、3合以上5.5合未満は平均14Wh/h、5.5合以上8合未満は平均16.53Wh/hとなっています。
ちなみに、炊飯時の消費電力量は3合以上5.5合未満が平均121.9Wh/回、5.5合以上8合未満は162.7Wh/回となり、1時間の保温にかかる消費電力量の10倍程度がかかります。
つまり、炊いたお米を10時間以内に食べきるのであれば、1食分ずつ炊飯するよりも、まとめて炊いたほうが電気代を節約できる可能性が高くなります。
保温にかかる電気代は炊飯器のタイプによって異なる
炊飯器の消費電力、電気代の平均値について紹介しましたが、炊飯器のタイプによっても、保温にかかる電気代は異なります。
炊飯器の主な種類は、「マイコン式」「IH式」「圧力式」の3つがありますが、最も消費電力量が少ないのはマイコン式とされています。
炊飯器の保温にかかる電気代はどれくらい?
1kWhあたりの電気代の目安単価は、執筆時点(2023年8月上旬)で31円と定められています。電気代は「1時間あたりの消費電力(kW)×使用時間×料金単価(円/kWh)で求められます。
先に紹介した、炊飯器の保温にかかる消費電力量の平均値で計算をすると、3合以上5.5合未満の場合は1時間あたり約0.43円、5.5合以上8合未満の場合は1時間あたり約0.51円の電気代がかかることになります。
1円にも満たないと考えると安く感じますが、こちらはあくまで1時間あたりの電気代の目安です。長時間保温し続けると、その分の電気代がかさんでいくので、必要以上に保温機能を多用しないように心がけるのがおすすめです。
炊飯器の「保温」と「予約」はどっちが電気代の節約になる?
炊飯器には、保温と同様に「予約」の機能が搭載されていることが多くあります。予約機能を使用する場合には待機電力が発生します。
待機電力の1時間あたりの平均値は、3合以上5.5合未満が0.78Wh、5.5合以上8合未満が0.72Whで、保温に比べると大幅に少ない消費電力となっています。つまり、先にご飯を炊いて保温しておくよりも、食べる時間に合わせてご飯を炊くほうが、電気代の節約になります。
炊飯器の保温と電子レンジの解凍はどっちが電気代の節約になる?
炊飯器はお米を炊くたびに電力を大きく消費するので、まとめて炊いたものを冷凍保存し、食べる分だけ電子レンジで解凍している人もいるでしょう。では、炊飯器で保温するのと、電子レンジで解凍をするのは、どちらのほうが電気代の節約になるのでしょうか。
ごはん茶碗1杯分のお米を、600Wの電子レンジで2分間温めた場合、電気代はおよそ0.5円程度となります。つまり、電子レンジで冷凍したお米を2分間温めるのと、炊飯器で1時間保温しておくので、かかる電気代にほぼ違いはありません。
ごはん茶碗1杯分のごはんを1時間以上の長時間保温するのであれば、一度冷凍し、食べるタイミングで電子レンジを使うのが、節電につながるといえそうです。
【参照】タイガー/炊飯器の保温機能の電気代はいくら?電子レンジ解凍とどっちがお得?
※データは2023年8月上旬時点での編集部調べ。
※情報は万全を期していますが、その内容の完全性・正確性を保証するものではありません。
※製品のご利用はあくまで自己責任にてお願いします。
文/佐藤文彦