政府の気候変動に対するさらなる取り組みに高い期待
日本では、自国の政府の気候変動に対しての取り組みについて「十分である」と考えている人の割合は17%(グローバル平均35%)、「十分でない」と考えている割合は83%(グローバル平均65%)となった。
グローバル比でみても十分でないと考えている割合が多く、今後の政府によるさらなる取り組みへの高い期待が示されている。
企業に対しても気候変動に対する積極的な取り組みが求められている
気候変動への対処に関し、日本では「各国には気候変動に関するより積極的な公共政策と政府の行動が必要である(89%)」と考える人の割合が最も高く、次いで「企業は消費者がより簡単にサステナビリティを高められるようさらに努力すべきである(88%)」「企業は気候変動に対処するテクノロジーやイノベーションの開発と採用を加速させる必要がある(88%)」の項目が同順位となっている。
一方で、「世界をより持続可能なものにするために、人びとは科学に従うべきである」に同意した日本人の割合は78%に達するものの、調査国のうち最も低い値となった。
科学の進展を望む一方で、気候変動に対する政府のリーダーシップや、各企業によるサステナビリティへの取り組みをさらに深めていくことへのより高い期待感が示されている結果と言えそうだ。
気候変動に対処する技術として「大気汚染のろ過技術」への期待が最も高い
気候変動に対処する各技術のうち、日本では「大気汚染のろ過技術 (大気中の有害粒子を除去するためのフィルターなど)(51%)」に期待する人の割合が最も高く、次いで「サステナブル(持続可能)な食肉と農業(植物由来の食肉、実験室で培養した肉など)(49%)」「廃棄物削減のための革新的な資源の活用 (47%)」となっている。
なお、グローバル平均では「廃棄物削減のための革新的な資源の活用 (49%)」「大気汚染のろ過技術 (大気中の有害粒子を除去するためのフィルターなど)(47%)」「従来の建築資材(屋根瓦、コンクリート、木材など)に代わる地球にやさしい資材(44%)」「手頃な価格のソーラーパネル(44%)」の順となった。
気候変動に対応する日本のインフラ投資
世界の人びとが、気候変動に適応する、または気候変動の影響を最小限に抑えるために、国がインフラ設備に投資をすることを望んでいる(日本91%、グローバル平均93%)。
各国において投資が期待される将来のインフラ設備について、日本では「公共施設の冷暖房に再生可能エネルギーを使用する(44%)」と「よりサステナブルな交通手段(電車/バス、電気自動車のタクシーなど)(44%)」と回答した人の割合が同率1位、次いで「防災技術および計画(43%)」があげられている。
一方、グローバルでは「公共施設の冷暖房に再生可能エネルギーを使用する(55%)」、「よりサステナブルな交通手段(電車/バス、電気自動車のタクシーなど)(51%)」、「放置された土地の緑地化(空き地に公園を作るなど)(48%)」の順となった。
再生可能エネルギーに関わる金銭的な補助のニーズが高い
世界の多くの人が、国が気候変動の影響に対処するために投資することを望んでいる(日本90%、グローバル平均91%)。国に採用してほしい具体的な政策のうち、日本においては「再生可能エネルギーに対する金融優遇措置」(42%)と回答する人の割合が最も高く、次いで「エネルギー需要管理プログラムの主導(オフピーク時にエネルギーを蓄え、ピーク時にエネルギーを放出する蓄電装置の使用など)(36%)」と「電気自動車の使用/所有に対する奨励金(36%)」があげられていた。
グローバルにおいても「再生可能エネルギーに対する金融優遇措置(44%)」が最も高く、世界的に見ても再生可能エネルギーに関わる金銭的な補助に高い関心があることがわかる。
State of Science Index(ステート・オブ・サイエンス・インデックス)とは
社会における科学の役割や人びとの科学に対する意識を理解することを目的に、3Mが2018年から実施している「科学に対する意識調査」。同社によれば、世界の人びとの科学に対する意識を追跡し、科学が世界に与える影響や、科学分野に関して人びとがどのように考え、感じているかを調査しているという。
2023年の調査は、2022年9月から12月にかけて、17か」国(米国、カナダ、イギリス、ドイツ、台湾、ブラジル、メキシコ、日本、韓国、スペイン、中国、インド、フランス、香港、イタリア、タイ、オーストラリア)から各国約1,000人、計17,061人(日本の1,005人を含む)の18歳以上の男女を対象に実施された。
関連情報
https://www.3mcompany.jp/3M/ja_JP/company-jp/
構成/清水眞希