ダブルどころかトリプル台風が発生したり、線状降雨帯による水害が各地で起きたりするなど、防災を意識せざる得ないニュースが頻繁に流れている。そんな中、身近な防災拠点として注目されているのがホームセンターだ。避難所として活用できる広い駐車場を擁しているだけではなく、中には災害時に物資が必要になった時、行政の要請に応じて物流拠点から食料、医薬品、寝具、日用品、燃料などを供給するーーといった協定を自治体と結ぶところも多い。
「まちの防災拠点・災害時の一時避難所復旧拠点」としても重宝されるカインズ
カインズも、そのひとつ。同社では、東日本大震災、大阪北部地震、2019年の台風15・19・20号などの災害に直面した時、店舗が大きな被害を受けながらも、店舗の復旧と商品の在庫確保に努め、地域のライフラインとしての役割を担ってきた。この経験を生かし、「まちの防災拠点・災害時の一時避難所復旧拠点」として、店舗でのプロモーションを通じた防災の日常化を推進している。
2023年9月、カインズでは来客者に向けて非常食の試食会を実施すると聞き、@DIMEの記者が急行した。訪れたのは、全国屈指の来客数・販売数・売上高を誇る旗艦店「カインズ浦和美園店」。エントランスを入ると、いつもはトイレットペーパーやティッシなどの売れ筋の日用品が置かれているスペースにずらりと防災グッズがずらりと並んでいた。
かなりの品揃えで、本気度の高さを感じる。同店でラインマネージャーを務める渡辺さんに話を聞いた。
「今回、いつもは各売り場に展示する防災グッズやローリングストックとしても使える食品、アイデア次第で防災にも役立つ日用品やアウトドアグッズなどを一箇所に集めてみました。2023年は関東大震災から100年となる年。『まちの防災拠点・災害時の一時避難所復旧拠点』としての役割も担うので、このようなキャンペーンを実施することで、地域の皆様の防災意識を高める一助になれればと思っています」と話す。
その陳列を見ると、単に防災グッズとされる商品を並べまくった付け焼き刃のキャンペーンとは一線を画すのがわかる。例えば、同社で人気の収納用品が並んでいるのだが、そこに「2人用3日分。パックご飯 16個、常備用カレー 3食パック 2個、ミックスナッツ 500g……」などと記したうえに、その収納イメージを写真や実物で展示しているのだ。
「お客さまの中には、防災に備えたいと思っていても、何をどれくらい用意すればいいかわからない方も多くいらっしゃいます。ひと目で〝何が必要なのか〟理解できる展示をすることが重要なのです」(渡辺さん)
定番のガスコンロも数種用意。そのそばにあったのが、同社オリジナルの『コンロ収納ケース』。
「ライフラインが止まってしまった時に調理で活躍するガスコンロですが、五徳部の凹凸が収納する際も、運ぶ際にも邪魔になるのです。専用のケースに入れておけば、普段はスッキリ収納でき、いざという時は簡単に持ち運べるのです」(渡辺さん)
このように関連する商品を〝防災〟をキーワードにして紐付けているのだ。