2023年4月1日から「所有者不明土地管理制度」がスタートしました。相続した土地の共有者が誰だか分からない場合や、周辺に荒れ果てて危険な状態の土地がある場合などには、所有者不明土地管理制度の利用をご検討ください。
本記事では所有者不明土地管理制度について、概要・利用すべき場面・手続きなどを解説します。
1. 所有者不明土地管理制度とは
「所有者不明土地管理制度」とは、所有者が誰だか分からず、または所有者が行方不明の土地について、裁判所が管理人を選任する制度です(民法264条の2以下)。
所有者不明土地管理制度は、2023年4月1日に施行せれた改正民法によって新設されました。
相続手続きが行われなかったなどの理由で、全国に多数発生している所有者不明土地の問題を解決するため、相続土地国庫帰属制度などとともに抜本的な対策として位置づけられています。
なお、所有者不明土地とともに、所有者不明建物についても新たに管理制度が設けられました(民法264条の8)。
2. 所有者不明土地管理制度を利用すべき場面
所有者不明土地管理制度は、以下のいずれかに該当する土地について利用できます(民法264条の2)。
(1)所有者を知ることができない土地
(2)所有者の所在を知ることができない土地
※所有者には、共有者を含みます。
上記のいずれかに該当する土地が存在する場合、利害関係人は裁判所に対して「所有者不明土地管理命令」を申し立てることができます。
たとえば、相続した土地の(他の)共有者が誰だか分からない場合や、周辺に荒れ果てて危険な状態の土地があり、その所有者が行方不明の場合などには、所有者不明土地管理命令の申立てを検討しましょう。