他人から何か悪いことをされた際に、「慰謝料を払え」などと言ったことがある方もいらっしゃるかと思います。このような使い方は正しいこともありますが、「損害賠償」と言った方が適切であることも多いです。
本記事では「慰謝料」についての基礎知識として、損害賠償との違いや金額相場などを解説します。
1. 慰謝料とは
「慰謝料」とは、精神的損害についての賠償金です。
慰謝料は、「不法行為」などによって発生します。不法行為とは、故意または過失によって、他人に対して違法に損害を与える行為です(民法709条)。
不法行為をした人(=加害者)は、被害者に生じた損害を賠償しなければなりません。
被害者の損害には、金銭の支出や逸失利益などのほか、精神的ダメージによる損害(=精神的損害)も含まれます。この精神的損害の賠償金に当たるのが「慰謝料」です。
2. 慰謝料と損害賠償の違い
慰謝料は精神的損害の賠償金であるのに対して、損害賠償は損害全般の賠償金です。すなわち、慰謝料は損害賠償の一種として位置づけられます。
「慰謝料を払え」というような言い方は、実質的に「損害賠償」の意味で用いられているケースも多いように思われます。しかし精神的損害だけでなく、それ以外の損害も賠償せよという意味であれば、「損害賠償を支払え」などが正しい言い方です。