気になる判決の行方は?
Y子もA男も出廷して証言するという【地獄絵図】です。まずは結論から。裁判所は「Y子は妻に慰謝料30万円を払え」と命じました。
▼ SEXしたのか?
証拠で裏付けられているのは【沖縄への3回のお泊まり旅行・同じ部屋で泊まった】という事実だけ。
ーーー Y子さん、弁解タイムです!
Y子
「SEXしてません。私はスポーツを伴う旅行では負担軽減のために男性と相部屋になることがあります。A男は安心感のある紳士だったので同じ部屋で泊まっても問題ないと思って相部屋にしました。SEXしてません」
ーーー 妻とのTELで謝罪してますよね。あれは「あなたの旦那とSEXしてゴメンね」では?
Y子
「違います。お客様の奥様にはホステスとの交流を好まない方もいらっしゃるので、不快な思いをさせたのであれば謝罪した方が礼儀正しいと思って謝ったにすぎません。A男とSEXしたことを謝ったんじゃありません」
ーーー 裁判所さん、この泊まり旅行をどう見ますか?
裁判所
「SEXしたと推認できます。少なくとも性的関係を持ったと思われても止むを得ない状況でした。この旅行は、夫婦の婚姻共同生活の平和を一定の限度で侵害している。なのでアウト。不法行為!」
▼ホステスの枕営業はセーフ?アウト?
Y子が枕をしていたのかは不明ですが、過去の裁判で「ホステスの枕営業は原則として婚姻共同生活の平和を侵害してない(=ホステスの勝ち)」と判断したものがあるんです(東京地裁 H26.4.14)
枕営業をしていたクラブのママに妻が損害賠償請求、裁判所が下した意外な判決は?
こんにちは。 弁護士の林 孝匡です。 枕営業をしているホステスに神が舞い降りました。 判決を見て、私は瞳孔が開きましたね。 そんな事件をお届けします(東京地裁 ...
夜の業界に歓喜の声が上がったと同時に、世の妻をブチギレさせましたね。でもまぁ、この判決はあんまり支持されていないようです。証拠をつかまれたら、今回のようにホステスはほぼ負けます。
▼ 慰謝料はナンボ?
問題は慰謝料がナンボか?です。これは裁判官が、SEXの回数、頻度、交際期間などを考慮して決めます。
妻
「沖縄旅行以外でもSEXしてたはずです。あんなに東京出張が多かったんですから」
Y子
「SEXなどありえません。同伴出勤やアフターをしてましたが他のホステスが一緒にいることがほとんどでしたので」
ーーー 裁判所さん、いかがですか?
裁判所
「東京出張の際にSEXしてたことを推認できる証拠は・・・ありません。これにて閉廷!」
沖縄旅行以外に東京でも2人で宿泊してた証拠をつかんでいたら、もう少し慰謝料は上がっていたでしょう。裁判は証拠が命です。
▼ 番外編
林.
「裁判長!質問があります!」
裁判所
「なんですか?閉廷したのですが…」
林.
「ホステスと何度も同伴出勤をしたりアフターで遊んでいるところを探偵にパシャパシャ撮られた男がいたとしましょう。ホテルへの出入りは撮られていません。この場合、裁判でSEXは推認されてしまうのでしょうか!何卒!」
裁判所
「安心してください。その限度であればセーフですよ」
※ 注意
逢瀬は十人十色、裁判官も十人十色。なので付き合い方(いつも路チューなど)によっては「SEXしたと推認できる!」と想像力を膨らませる裁判官もいるかもしれません。ごチュー意を。
※ オマケ
そういえば、SEXせず【ベッドでイチャイチャしただけ】で【不貞行為】と認定した裁判例があります。詳しくはコチラ
今回は以上です。「こんな解説してほしいな〜」があれば下記URLからポストして下さい。また次の記事でお会いしましょう!
取材・文/林 孝匡(弁護士)
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