物理カードはもう必要ない?
筆者自身もオリコ発行のクレカを所持しているが、確かこれを最初に作ったのは15年も前のことだったと思う。
その間に、カードは進化した。最初は磁気ストライプしか搭載されていなかったカードに、やがて接触型のICチップがくっつくようになった。そして今では非接触型決済に対応し、スマホとの紐付けもできる。
そして此度のOrico Code決済の実装は、クレカの「物理カードからの脱却」という意図が多分に含まれているのではないか。
提携加盟店でクレカと紐付けのQRコード決済ができるのなら、そして他のQRコード決済とも紐付けることができるのなら、もはやカードが物体である必要はどこにもない。
仮に物理カードを手に入れたとしても、それは金庫に保管しておけばいい。実際、筆者の日常生活においても物理カードを取り出す機会はめっきり少なくなった。スマホ1台で完結できるからだ。
クレカは「カード」ではなくなりつつある。
カードはデジタル化したほうがいい!
クレカ発行会社自身が物理カードからの脱却を果たそうとする取り組みは、結果としてカード自体のセキュリティーを強化することにもつながる。
カードを盗まれなくとも、表と裏に記載されている名前や番号を誰かに暗記されてしまえば、それが悪用される可能性が物理カードにはある。ならばそれを一切秘匿にしてしまおう。その発想で近年発行枚数を伸ばしているのがナンバーレスクレカ、いわゆる「のっぺらぼうクレカ」だ。
のっぺらぼうクレカの次の進化形を予想するなら、やはりデジタルカードである。紐付けしているスマホの画面ロックが破られない限り、クレカの情報を他人に見られてしまう可能性はほぼゼロに近い。
また、カードのデジタル化は「カードの寿命を無尽蔵にできる」という利点もある。これはどういうことかというと、たとえば筆者が今この場でクレカの新規発行を申し込み、1週間後に5年後の2028年9月が有効期限の物理カードが届いたとする。
しかしこのカードが磁気ストライプと接触式ICチップしかなかった場合、本当に5年も使い続けられるのかということが問題になってくる。
つまり、5年もしないうちにカードが摩耗して故障するかもしれないのだ。が、クレカをデジタル化していればそのような心配は無用。
そうしたことも考えると、クレカ発行会社自身が「脱物理カード」を実施するのはユーザーにとって非常に喜ばしい話題なのだ。
【参考】
オリコの提携クレジットカード加盟店向けにデジタル決済サービス「Orico Code決済」の提供を開始!-PR TIMES
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000174.000084623.html
取材・文/澤田真一