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ビジネスでよく使われる言葉「生産性」はテクノロジーの進化によって今後どんな定義に変わるのか?

2023.09.22

この3年間で、多くの大企業は歴史的な変化を経験してきた。その中でも、とりわけ重要なのがハイブリッドワークへの移行だ。

アドビが実施したグローバル調査「デジタルワークの未来」(対象:米国、英国、オーストラリア、インド、日本の企業のシニアリーダーと従業員4,500人以上)によれば、大企業の従業員の約3人に2人(63%)は完全オフィス勤務を採用しておらず、約半数の47%はハイブリッド型の勤務体制を採用しているという。

その一方で、ハイブリッドワークにも課題はあり、企業が成功を確実に手にするには、生産性への取り組みが求められる。また、調査に参加した大企業の従業員の3分の1近く(31%)は、デジタル面での不備などからハイブリッドワークをするうえで生産性へのネガティブな影響を報告している。

大企業における生産性の定義

企業にとって「生産性とは何か」を調べるため、生産性という言葉から連想される状況について大企業の従業員に尋ねたところ、「仕事をより迅速に行うこと」、「より多くの仕事を行うこと」、「より少ない人数でより多くの仕事を行うこと」、「収益をもたらすこと」などではなく、「よりインパクトのある仕事をすること」という回答が45%で最多回答となった。

また、外的要因による生産性への影響は、かつてないほど高まっている。大企業の従業員の約3人に2人(64%)は、経済の先行きの不透明さや社会的な不安が、仕事の生産性の妨げになっていると回答している。

報告されている主な懸念事項について、グローバル企業では第1位が「生活費の高騰」で、第2位が「不況の可能性」、第3位が「賃金格差」だった。

これを日本の全体的な労働者に絞ってみると、「不況の可能性」と「仕事の柔軟性のなさ」が同率で1位、「生活費の高騰」が3位となっている。

テクノロジーは課題であると同時に機会でもある

外的要因による生産性の低下に関して、企業側が関与することは困難であるものの、適切なテクノロジーを労働者に提供し、競争上の優位性を与える余地は残されている。

大企業の労働者の9割近く(87%)はテクノロジーの不備による自社の生産性の低下を認めており、約3人に2人(64%)はこうしたテクノロジーの不備により「1日に2~5時間分の生産性を失っている」と考えている。また、約3分の1以上(35%)は、業務におけるそのようなテクノロジーの完全な撤廃を望んでいた。

テクノロジーの不備が及ぼす影響は、生産性の損失だけにとどまらない。大企業の従業員の5人に1人(20%)は、業務におけるテクノロジーの不備により、今後半年以内に退職することを考えている。

また、「デジタルリテラシーのレベル」についての認識を聞いたところ、大企業の従業員のうち約3人に2人(67%)が、自身と所属チームのデジタルリテラシーについて「非常に詳しい/専門家レベル」と回答。中小企業の58%に比べて高い結果となった。

日本の従業員に絞った結果をみると、「非常に詳しい/専門家レベル」だと答えた人はわずか30%(中小企業では25%)で、グローバル平均やその他の国と比較しても低い数字となっている。

人工知能と自動化は仕事にポジティブな影響を与える

上記を踏まえ、テクノロジーを通じて企業の生産性を向上させるには、どのような手段が考えられるのか。調査によると、自動化、人工知能、そして興味深いことに、デジタルドキュメントが、企業の投資すべき分野となっている。

人工知能と自動化は、ほぼ例外なく、仕事にポジティブな影響を与えると考えられている。大企業の労働者の9割以上(93%)は、AIテクノロジーがポジティブな影響を及ぼすことを報告しており、4分の1以上(27%)はこれを「奇跡」とまで評している。

さらに、AIによる生産性の主なメリットとしては、第1位が「時間の節約」(68%)、第2位が「従業員の仕事の迅速化」(63%)、第3位が「退屈または面倒な仕事の軽減」(45%)が挙げられた。AIを利用する労働者の半分近く(43%、中小企業は33%)は、「AIによって働き方は完全に良い方向へと変わった」と報告している。

昨今、ビデオツールやコラボレーションツールが企業の業務を支配していると思われるかもしれないが、デジタルドキュメントもいまだに重要な業務だと評価されており、実際のところ最重要要素だともいえる。

調査に参加した大企業の労働者は、ZoomやMicrosoft Teamsなどのビデオ会議ツール(66%、第3位)、共同作成や資料共有の際に活用するコラボレーションテクノロジー(68%、第2位)を抑えて、Adobe Acrobatでの作成、編集、レビュー、コラボレーションが可能なPDFなどのデジタルドキュメントを「なくてはならない」テクノロジー(74%、第1位)に挙げていた。

一方で、労働者の間でデジタルドキュメントが重要視されているにも関わらず、約半数(45%)は「自社の業務の半分以上がいまだ紙に頼っている」と回答している。

また、大企業の労働者の約3分の1は、「デジタルと紙の混在するドキュメントの管理」(36%)、「紙文書によるコラボレーション」(34%)、「紙文書の印刷」(29%)など、紙ベースの業務による生産性の低下を報告している。

生産性とは共同責任

調査から示唆される点として、従業員は企業が適切なテクノロジーを採用し、サポートすることに深く関与しており、彼ら自身も課題解決に向けて携わっていると考えている。

事実、大企業の従業員の約6割(58%)は、仕事の生産性のマネジメントは主に自分たちの責任であり、テクノロジーリーダーや管理者はサポート役だと回答している。

テクノロジーが自社の生産性の妨げとなる場合、従業員の取るアクションとしては、
1) より良いソリューションを見つけ、雇用主にそれを薦める
2) より良いテクノロジーへの投資を組織に促す
3) より良いソリューションを発見し自ら使用する
などが考えられる。

優れたテクノロジーは優秀な人材の獲得につながるため、経営陣はこの点に注視すべきだろう。大企業の従業員の9割以上(93%)は、業務におけるテクノロジーが新しい会社での役割を引き受けるかどうかを決定する要因であるとしており、7割以上(72%)は「有力な検討事項」または「絶対に必要な要素」だと回答している。

ハイブリッドワークにおける生産性の向上が、大企業の経営陣と従業員の共通責任であることは明白だ。そして、デジタルトランスフォーメーションは、こうした共通責任の中心的な存在。

テクノロジーの不備は成長を阻害する可能性があるが、AI、自動化、デジタルドキュメントの技術の進化に投資することで、社内外の成功の加速に繋げることができるはずだ。

関連情報
https://blog.adobe.com/jp/publish/2023/09/12/dc-future-digital-work-enterprise-insights-productivity-shared-responsibility-rooted-in-tech

構成/清水眞希

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