「お金を借りること」への理解を深める重要性
生活の中で借入れを少なからず利用しているにもかかわらず、「できれば借金はしないほうが良い」のイメージにつながるのはなぜだろうか。
改めて「図表1」の選択肢に目を向けてみると、選択肢の背景を青塗りしている「~は良い借入だ」の選択率は1割~2割弱とあまり高くない。
お金を借りると、利息の支払いが必要であるのはもちろんのこと、返済できなくなったらどうするかといった不安感があったり、返済が滞るとペナルティが課されたりするなど、「金融資産があるなら借金はしないほうが良い」かもしれない。
一方で「お金を借りる」という行為は、「保有している金融資産」と「必要な支出の金額・時期」のギャップを埋めるという機能も有している。
例えば、自宅を購入したいと考えた際、現金一括で購入しようとすると、住宅購入に必要な金融資産を準備するまでに、一般的にはかなりの年月が必要となるが、住宅ローンを利用することで自分のライフプランに合ったタイミングで購入をすることができる。
近年、関心の高まっているファイナンシャル ウェルビーイングを実現するには、自身のライフプランとそれに対応したマネープランを考え、金融商品・サービスをうまく活用していくことが不可欠だ。
「金融商品・サービス」には、投資に関するもののみならず、もちろん「借入れ」に関するものも含まれる。
投資に関する商品が千差万別であり、みなさん自身の考えによって取り入れるべきものが異なるのと同様に、「借入れ」に関するものもさまざまなので、借入れについての理解を深め、「どのような場面であれば借入れをうまく活用できるか」という点を、戦略的に考える必要がありそうだ。
「借入れ」に関しては、
・ライフイベントにおける取組みを支える「資産を形成するための借入れ」なのか、「身の丈以上の消費のための借入れ」なのかを判別する(「借入れ」とは、購入する余裕がないものを購入するための手段ではないということを理解することが大切です)
・「身の丈以上の消費のための借入れ」は安易には行わず、本当に必要な消費であるかを再考し、本当に必要であればまずは自身の収支の調整で対応する
・「資産を形成するための借入れ」については、ライフプランとそれに対応したマネープランを考え、その中で適切に活用することを検討する
・「資産を形成するための借入れ」であっても、どの程度の「借入れ具合」が適切かを自身の資産全体やマネープランを確認したうえで考える
といった目線で取り入れることが重要と思われる。
調査概要
調査名:「住まいと資産形成に関する意識と実態調査」(2023年)
調査対象:全国の18~69歳 ただし関連業種(金融、調査、マスコミ、広告)従事者を除く
調査方法:WEBアンケート調査
調査時期:2023年1月
サンプル数:11,190サンプル
関連情報
https://mirai.smtb.jp/category/report/1834/
構成/Ara