■連載/阿部純子のトレンド探検隊
時間や場所に縛られない自由なフィットネスを実現する「Water Rower|NOHrD」
ドイツ発の木製のフィットネスマシン「Water Rower|NOHrD」は、ドイツ・ノルトリング=ハンブルク地域の伝統的な木工技術を持つ職人により手作業で作られている。原材料の木材を余すところなく使い、工場の電力もソーラーパネル発電や水など自然のエネルギーを使っている、サステナブルフィットネスブランドだ。
ブランドの設立は1994年。ウルリッヒ・ピンドルがアメリカで開発した「Water Rower」の美しさと機能性が広く支持されたことがきっかけとなり、「Water Rower|NOHrD」としてウルリッヒの哲学を引き継ぐ形でシリーズ化されている。
デザイン性とサステナビリティの価値観が共感を呼び、PlusX Awardなどの国際的アワードや、ミュージアムでも展示され高い評価を受けている。現在ではドイツをはじめとしたヨーロッパ各国やアメリカなど、世界38カ国で愛用されている。
日本全国に約150店舗の24時間型のフィットネスジムを運営している「ワールドプラス」が、同ブランドと日本市場におけるパートナー契約を結び、個人向け販売とサブスクリプション提供を9月から開始し、本格的な日本上陸となる。
ワールドプラス代表取締役社長・上口泰正氏は、ジムを運営する会社が家庭用のフィットネスマシンを手掛けることになったのは、「ジムに通う心理的なプレッシャー、ハードルをなくす」ことが理由だと話す。
様々な業態のジムが乱立している背景には、フィットネスジムに行って運動することが「面倒」「大変」「つらい」といったネガティブなこととして捉える人が多く、それらを払拭するために、価格を安くしたり、通いやすさを追求したり、他店にないコンテンツを打ち出したりすることが業界全体で行われているのではないかと指摘した。
「目標を達成することをモチベーションとして運動される方は素晴らしいと思います。でも私自身がそうなのですが、挫折してしまったり、やり続けることが難しいタイプとしては、何かを達成しないといけない、あるいは目標にしている人と同じことをしないといけないというプレッシャーから、ジムに行きにくい、ジムに行っても続けられない、そんな心理があると感じていました。
誰かみたいになる必要もなく、何か強い目標を持ってそこに対して苦労することでもなく、自分自身が好きな時に、好きなペースで運動をする、もっと自由なフィットネスを広げていきたいと思っています。
その思想を私たちは『デザインフィットネス』と呼んでいます。デザインというのは自分自身でフィットネスやフィットネスライフスタイルを構築していくという意味があります。プレッシャーではなく、自分のライフスタイルに沿って自分らしくいられるようなフィットネスを世の中に広げていきたいという思いで、家庭用のフィットネスマシンの販売をスタートすることにいたしました」(上口氏)
個人向けに全12種の販売に加え、「Water Rower(ウォーターローワー)」、「Eau-Me Board(オーメボード)」、「TriaTrainer(トリアトレーナー)」、「SwingTower(スウィングタワー)」、「NOHrD Bike(ノルドバイク)」の5 種については、個人のライフスタイルへの取り入れやすさを考慮して、月額2500円よりサブスクリプションでの提供も行う。
「家庭用トレーニング機器はクローゼットや物置にしまっておいて、使う時に取り出す人も多いですが、出すときに『今日もつらいけどやらなくちゃいけない』とかネガティブになったり、頑張れなかった日はしまうときに罪悪感を覚えるかもしれません。
Water Rower|NOHrDは、サステナブルな製法だけでなく、デザイン性の高さも特徴で、部屋に置いていても違和感がないことも大きな魅力。Water Rowerなら壁に立てかけてもインテリアとしてもなじみます。
バイクは自分の部屋に置いてちょっと気分が乗ったときだけ簡単に運動する。5分くらいで気分乗らなければやめてもいい。ダンベルのスウィングタワーも、ソファーの横に置いておいて、テレビ見ながら少し今日はやってみようかなという気分のときにやればいい。私たちは、それくらいの感覚でフィットネス体験してほしいと思っており、デザイン性はとても大事だと思っています。
私たちが望むフィットネスマシンは、目標を達成することのために使う道具ではなく、自分のペースで長く、自分の好きな時に使ってもらうもの。大原則として長く使っていただけることが重要で、品質だけではなくこのプロダクトのサステナブルな作り方も、とても大事だと考えています」(上口氏)
Water Rowerはその名の通り水の力で動くプロダクトで、浜辺に打ちつける小波のような水の音を感じながら身体を動かせる。
従来型のフィットネスマシンのように一定で機械的に指示をされる動きではなく、自分の動きと連動した心地よい波を作り出すような、新しい感覚のフィットネス体験が得られる(下記画像はWater Rower|NOHrD ジャパンアンバサダーの長濱ねるさん)。
電力を使わず、自分の動きがエネルギーとなって循環し、トレーニングの負荷となるため、「やらされている」感がないのも大きな特徴。トレーニング負荷は自分自身でコントロールすることができるため、その日のコンディションに合わせて使うことができる。
【AJの読み】プレイスメントジムに最適な木製フィットネスマシン
モチベーションをキープしながらジム通いするのは、意識が高い人でない限りなかなか難しいもの。上口社長が話していたように、運動することが「苦行」になってしまうと、やらなければいけないという義務感だけで体を動かすことになり、本来あるべきフィットネスの楽しさを感じることができない。
自宅でフィットネス環境を整え、好きな時に好きなように体を動かせる、運動をライフルーティンに組み込む新しいジムの形が「プレイスメントジム」。「Water Rower|NOHrD」はプレイスメントジムを前提につくられたフィットネスマシンだ。
いつでも好きな時にできるようにするためには、クローゼットや物置にしまい込むのではなく身近に置いておくことが重要だが、木製のマシンはインテリアとしてもしっくりとなじむ。
手軽に楽しめるようにサブスクリプションサービスを導入しているのも大きなメリットで、契約期間が終了した際は、返却、契約延長、買い取りから選択が可能。
慶應義塾大学教授で脳科学者の満倉靖恵氏によると、香り、明るさ、音楽などトレーニング中に五感を刺激することで、脳が活性化されてパフォーマンスが高まるという。自宅に設置した「Water Rower|NOHrD」なら、好きな音楽を聴きながら、好きな香りを楽しみながら、暗くした部屋で集中しながらなど、好みの環境で運動ができる。
文/阿部純子