オンラインカジノの時代が到来
近年の国内の大型ポーカートーナメントでは、「ファイナルテーブル」が設置されると海外のように応援席が設けられるようになった。これは目覚ましい進化である。ただ、内国人の性格も影響しているのか、大きな声を出して声援を送るといったシーンは、まだあまり見られない。
また、日本人プレーヤーが諸外国で「団体戦」を取れない理由としては「距離」の問題があるだろう。ここ数年は円安の影響もあり海外遠征はハードルが上がっている。魅力的なカジノやトーナメント開催地は日本から遠い場所が多く、フルタイムワーカーにとっては取得した休暇中に国内に戻って来られないこともありうる。その結果、身近なオンラインギャンブルに手を出している人も並行して増えているのかもしれない。
2020年のコロナ禍以降の時代のシフトと共に、カジノプレーヤーの行動にも必然的な変化が表れている。
筆者は1年ほど前に、国内のポーカー運営者と協議をしたことがあるが、例えば日本ではオンラインギャンブルに関して、「キャッシュプレー」(現金でプレー)と「トーナメントへの参加」(エントリーフィーを払ってイベントに参加)は棲み分けすることはできないのだろうか。
諸外国ではカジノと eSports の融合が一つの形となって新しい時代をけん引しようとしているようだ。この形は日本のIRでも導入可能なスタイルだろう。
1980年代、カジノを誘致している国は80か国程度であった。今やカジノはおよそ140か国にあり、オンラインギャンブルの時代も到来している。世の中が「デジタル化」を望み、それを加速したことが顕在化したのだろう。
だが、ひとりであろうと大勢であろうとデジタル化が進もうとも、人間は所詮生身であり、カジノだけでなく、アナログ的な交流がある場所に居心地の良さを感じる生命体。筆者は常々そう感じずにはいられない。
※編集部注:日本ではオンラインカジノを利用した賭博行為は違法です
取材・文/かじのみみ
カジノライター/ カジノコンサルタント
カジノ、ギャンブル、IR業歴31年。ディーラー歴25年。1992年より全国各地で開催された120件以上の「模擬カジノ」の企画、運営、ディーリング業に携わる。2008年から米系大手カジノ企業のVIPマーケティング・通訳・経理担当。2013年8月に同企業を離れフリーとなり、IRの誘致活動に従事。2020年以降は、カジノとギャンブル関連の執筆、スポットコンサル、通訳業に専念し、現在に至る。大阪生まれ、横浜・インドボンベイ育ち