9月も中旬を過ぎ、まだ残暑は続いているが、朝夕は季節の変わり目を感じさせる日も増えてきた。というわけで、まもなく食べ物がおいしくなる秋。ついつい食べ過ぎて体重がオーバーしてしまう季節でもある。
そこで秋太りに備えて、ダイエットを考えているのであれば、「油抜きダイエット」に注意したい。油を極端に少なくすると、健康被害を起こすことがあるほか、生活習慣病をはじめ、 肌あれ、ドライアイなど、美容面や生活に影響する不調につながると言われている方だ。
しかし、油を少なくするとコレステロールや摂取カロリー が下がり病気を予防するのでは? という疑問も浮かぶ。
そのパラドックスを生体と油の関係に詳しい麻布大学教授、守口徹先生が解説していただいた。
「油抜きダイエット」が体に不調を起こす主な理由
油は決して悪者ではない。ダイエットやコレステロールを気にしている人にとって、油はあたかも悪者のような存在かもしれないが、油は体をつくりあげている重要な成分。
じつは人間の構成成分の15%は脂質、つまり油でできており、水分を除いた成分の割合では、なんと4割が脂質、半分近くを構成しているのだ。
また脂質はホルモンの材料、細胞膜の構成成分になっている。人間はおよそ37兆個の細胞でできているといわれており、その膜をつくっているということは、油を抜くと全身、全臓器に影響するということだ。
油は体のエネルギーになるとともに、血圧やホルモンなどの調節を行なう
それでは、どうして油は悪者のような扱いをされるのか? 油の働きを知ると、 その謎が解けてくる。
油には、大きく分けて2つの働きがある。1つはエネルギーや 体のいろいろな機能の調節役としての働きだ。
脂質は、たった1gで9kcalものエネルギーとなり、揚げ物は油を多く含むため高カ ロリーとなる。また、生体調節の働きを主に担っているのが、必須脂肪酸といわれる、体ではつくることができず、食品からのみ取り入れることができる脂質だ。
近年、健康増進に役立つとして広まってきたオメガ3とオメガ6は、この必須脂肪酸にあたる。
摂るべき油はオメガ3、他の油とのバランスも重要
必須脂肪酸は摂り方のバランスが重要。オメガ3とオメガ6の割合が、1:2~4になるように摂ることがポイントだ。
オメガ6は大豆油、ゴマ油、コーン油など日常にとりやすい油に多く含まれている。このバランスを維持するには、毎日1食、DHAが豊富な魚を食べることを心掛けたい。また、オメガ3を豊富に含む亜麻仁油、エゴマ油も積極的に活用しよう。