呉市街への帰還
観光らしい観光はここまで。あとは7つの島の主要道をほぼ制覇したんじゃないかというぐらいにグルグルと島中を走り回り、呉市街へ向けて再び本州に帰ることにしました。
2日間の間で合計16回も橋を渡るうち、気が付いたことがあります。
それは、瀬戸内の海流のことです。
大きな波がないため一見穏やかそうに見えた瀬戸内海ですが、よく見るとヘビが泳いでいるようにウネウネと勢いよく動く海流が見えます。
橋の上や展望台など高い場所から見下ろすとわかるのですが、海流が生まれているのは島と島の間だけ。それまでは広い場所を流れていた海水が、一気に狭い場所へとなだれ込んでいる様子なのです。
これまでなんとなく「瀬戸内海の魚は身がしまって美味しいなぁ」と感じていましたが、激流のなかで生きてきたからこその味なんですね。クロスカブでのんびり走ったおかげで、車では気が付けないようなちょっとした発見に出会えたのでした。
──安芸灘とびしま海道を出たあともさらに西へと進み続けると、やがて呉の市街地へと到着しました。
大和ミュージアムの付近を走っていたところ、突然巨大な潜水艇がビルのようにそびえ立っているのを見た時は、走りながら大きな口を開けてビックリ仰天しました。
潜水艇自体は『てつのくじら館』という海上自衛隊の資料館の展示物なのですが、ここまで新鮮に驚くことができたのはノープランで訪れたおかげかもしれません。
「たまにはリサーチなしでフラッと旅するのもいいものだなぁ」なんて、改めて感じながらクロスカブのアクセルを回したのでした。
文/高木はるか
アウトドア系ライター。つよく、しぶとく、たくましくをモットーにバイクとキャンプしてます。 愛車はversys650、クロスカブ110、スーパーカブ90。
高木はるかの記事は下記のサイトから
https://riding-camping-haruka.com
編集/inox.