世界中で多くの人がコミュニケーションを行っている没入型プラットフォーム「Roblox(ロブロックス)」は、2023年9月11日に実施した『第9回 Roblox 開発者会議(RDC)』でさまざまな新機能の発表を行った。
このイベントは、世界中の「Roblox」コミュニティからもっとも革新的なクリエーターが集まり、お互いにつながり、プラットフォームの最新ツールや製品について情報を発信。「Roblox」は、「みんなとつながる方法を新しく作り出す」というビジョンを持つグローバルコミュニティで、毎日世界中で何千万人の人が友達と一緒に数百万本もの没入型デジタル体験を楽しんでいる。こういったバーチャル空間にある作品は、すべてプラットフォーム上の数百万人の開発者やクリエーターから成るコミュニティが制作している。「Roblox」は、安全で多様性があり、お互いに思いやりの気持ちを持ったコミュニティを作ることがみんなの創造力を引き出し、世界中の人々の間でポジティブな人間関係を作り出すものと考えているという。
『RDC』で発表された新機能では、2023年下旬に実装予定の「Roblox コネクト(Connect)」が注目。この機能は、デバイスのカメラを通じてユーザーの動きを捉え、リアルタイムで「Roblox」アバターに反映させることができる。友達リストに登録されている人と会話する時に利用できるので、キャンプファイヤーのそばに座って没入感溢れるバーチャル空間を共有しながら会話するなど、「Roblox」の世界をより楽しめるようになる。
さらに「Roblox」は、『PlayStation 4』と『PlayStation 5』でも来月から展開されることになった。これによって、数百万のコンソール所有者が新たに「Roblox」の世界にアクセスできるようになるという。
『Meta Quest』で展開した「Roblox」のベータ版は、5日間で100万以上のダウンロードを達成。これを受けて9月末に『Meta Quest』への正式提供も開始する。『Roblox Xbox』アプリをアップグレードして、新しい外観、頻繁なアップデート、コンテンツ推薦の改善、ユーザー体験の向上も実現するという。
「Roblox」での創作を身近なものにして、クリエーターが味わい深く魅力的なバーチャル空間をより早く構築できるようにする会話型AIツール「アシスタント(Assistant)」も発表された。これは2023年初めにリリースされたAIツール「コードアシスト」と「素材生成」のベータ版の機能を引き継いでいるという。2022年までは自動入力でコードを生成する機能もあったが、「コードアシスト」をリリースして以来、生成されるコードの量が以前と比べて倍増。プログラミングによってさまざまなマテリアルが作成できる素材生成のベータ版を使用しているクリエーターは、このツールを使用していないクリエーターに比較して物理ベースのレンダリング素材の使用率が50%以上であることが明らかになったという。
アバター作成ツールが強化
『RDC』では、アバター作成を強化する新たなツールも多数発表された。これらの機能は、1年を通して展開される予定で、個性的かつ表現力豊かなアバターを簡単に作成できるようになる。主な機能は次の通り。
●新しいメッシュとテクスチャのAPIで、クリエーターはバーチャル空間内のアイテムを変更できる。具体的には、形状・寸法やテクスチャの変更が可能。
●新しい機械学習ツールにより、クリエーターのモデル作成プロセスを自動化。新しいプレビュー機能では、自分のアバターがどのような表情になるかリアクションの様子やアクセサリーや重ね着をしたときにどのような動きになるかを確認できる。
●クリエーターが写真とテキストプロンプトから数分で簡単にアバターを作成してカスタマイズできる。
最高技術責任者のダン・スターマンさんは次のようにコメントしている。
「近い将来、アバターはその人の表情を瞬きの速度まで正確に映し出せるようになるでしょう。これらは、没入型バーチャル空間の中でも、現実と同じ感情的なつながりを持てるようにするために必要なことです。
クリエーターをサポートする一連のツールやサービスのほかに、クリエーターが「Roblox」 で収入を得るための新たな手法を発表しました。
「Roblox」での経済活動に関する当社のビジョンで公開したように、「Roblox」は世界最大級のバーチャル経済を支えており、2023年6月までの12か月間で、「Roblox」の開発者は総計6億8000万ドルを稼いでいます。
『RDC』において、クリエーターが定期購入を提供する新しい方法を近日中に開始する予定であることを発表しました。例えば、デジタルアバターの定期購入を提供し、定期購入者は厳選された衣装を定期的に受け取ったり、メンバー限定のファンクラブを利用したりすることができます。
さらに、「Roblox」のユーザーであれば誰でも収益をあげられるようにするために、本人確認済みの「Roblox」プレミアムアカウントを持っている人なら誰でも、 「Roblox」マーケットプレイスで販売するアイテムを作成できるよう、今月末案内をする予定となっています」
最高プロダクト責任者のマヌエル・ブロンスタインさんのコメント。
「私たちが『RDC』で共有したイノベーションによって、人々がこれまで以上に幅広いデバイスで、これまで以上に没入的な方法でつながり、コミュニケーションを図ることが可能になります。今回発表したツールは、どこからでも簡単に直感的な創作を可能にし、クリエーターのビジネス構築を支援します」
新機能やゲーム機への対応で、さらに利用者が拡大していきそうだ。
参考:2023年Roblox開発者会議(RDC 2023)、「Robloxの今後の展開」
構成/KUMU